第162話 捜索と正統
結局見つけたのは、スカルだった。俺ってやっぱりいらなかったか? いや、俺が捜査に加わったことで一人当たりの担当面積が狭まり、その結果、早く見つかったのだ。だから、俺の行動、及び存在は無駄では無い! はず……
転移するための魔法陣は、特に祭壇などがある訳でもなく、草むらの中にしれっと紛れ込んでいた。なかなか悪質だぞ、この塔。それにしても、これがどこまで続くのだろうか……まあ、無理でも死ねばいいだけだから、楽ではあるか。
転移した先は、なんと湿地帯だった。
『おおおーーー!! 湿地すかー! 久しぶりっすねー、やっぱここに来るとテンション上がるっす! ちょっくら、散歩して来るっすねー!』
『あっ、おい!』
そういえば、ハーゲンの故郷? 生息地は湿地だったな。まあ、慣れ親しんだ場所ならそりゃテンションも上がるってもんか?
転移する時に、いちいち元に戻すのを面倒くさがったからな、俺にも非はある。しょうがない。まあ、自由にさせてやるか。さっきの大木相手にも健闘してくれたしな。これで、これからも頑張ってくれるなら別にいいか。
ふう、この階層にも恐らくボスはいるのだろう。ならば、先に死んでおくのもありか? 一旦ボスを探しておいて、それに対抗出来そうなスキルをもって対抗するとかはありだな。よし、なら、ボスを探すか。
ハーゲンも含め、従魔には全員お帰り頂いて、俺一人で隠遁を使って捜索を開始する。ハーゲンには、テンションの上がってるところ申し訳ないが、こればっかりはしょうがない。無駄なリスクは減らすべきだからな。
別に、さっき役に立たなかったから、今度は一人で手柄を立てようとは思ってないぞ? 普通にこっちの方が合理的だからな。……本当にそうだからな?
「あっ」
発見した、ボスはなんと、ハゲタカだった。
〈Lv.112 グレイテストスワンプコンドル〉
さっきは名前見ていなかったからな、今回はしっかりと見る。すると、俺が出会った頃のハーゲンと同じ種族かつ、当時のハーゲンよりも上位種だ。
ハーゲンもこれになっていたかもと考えると、少し複雑な心境だな。こればっかりは、
ハーゲンには見せずに俺が秘密裏にやってしまおう。
これはハーゲンのアイデンティティ確立に向けてあまりよろしくなさそうだからな。今までは狼に育てられてきてずっと森の中にいた少年が、あることをきっかけに、普通の人間の営みを見てしまう……その時、その子はなんて思うのだろう……
みたいな感じになりかねないからな。ここはハーゲンの為にも、大人の力で、抹殺しておこう。
「【厭離穢土】!」
ハゲタカは断末魔の叫び声を上げることすら出来ずに、そして誰にやられたかもわからずに、その命を終えた。
え、このスキル強すぎないか? デメリットはあるけど、そんなに気になる程でもないしな。あっ、次回使用可能まで、120hって書いてあるわ。まあこの強さなら、当然っちゃ当然か。これだけに頼ってもつまらなさそうだしな。
よし、さっさとこの階層は後にして、先を急ごう。あと、どれくらい残ってるかもわからないしな。湿地では特に死ぬこともできなさそうだし、次行くか。
「あった!」
今回は俺一人で見つけた。よくよく考えたら、俺が神速使って走り回った方が早いんじゃね? って思ったのだが、正しくそうだった。これからは、転移の魔法陣を探すのは俺の役目だな。
次の階層は流石にハーゲン達にやらせるか。あと、あいつら将軍達の強化もしてあげないとな。よしでは、行くか。
次の階層に到着すると、そこは……
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