　明らかに見た目が変化して、少し面倒くさそうになったが、逆に、顔かどうかは微妙だが、口があることで弱点というか、狙うべき場所もはっきりしたようなものだ。だからこそ、俺は口を狙っていく。

　取り敢えず今は龍化したまま攻めてみる。相手の攻撃パターンは枝による巻きつきから、枝による刺突に変わった。まあご存知の通り、俺には刺突なんてものは効かないからな。なんなら、さっきよりもやりやすいな。

　そう思って、口に噛みつこうとしたが、向こうも同様に、口を開いて噛みつきをしてこようとしてきた。俺はそれを見て、思わず顔を背けてしまった。

　不覚にも、その光景に気持ち悪さを覚えてしまったのだ。大きく開かれた口に付いた牙、そして、そこには唾液のようなものまで絡んでおり、ダメージは食らわないと頭では理解しているのだが、生理的嫌悪感には逆らえなかった。

　その為、俺は首筋を噛みつかれてしまった。すぐさま龍化を解除し、その噛みつきから解放され、そのまま天駆で、再び顔面まで迫る。とても大きな顔であるため、上手く攻撃できそうではないが、いかせてもらう。

「はっ！」

　俺は一筋だけを加えて落下していった。俺が切断したのは、牙一本だ。だが、それでも収穫はあったようだ。牙の修復が遅いのだ。

　こいつの牙は、人間の歯みたく別の素材というわけでもなく、牙までも木であった。だからこそ切れたのだが。

　今、ハーゲンは花びら一枚、一枚を落としにかかっている。俺が一応ヘイトを集めているから、攻撃をされていないが、本来なら相当うざいだろうし、何より嫌なはずだ。だからなんとしてでも、ヘイトは俺が稼ぐ。

　今、骨達が根っこを探しては斬ってを繰り返しているはずだ。ある程度まで進めば、かなり影響も顕著に現れるはずだ。俺の使命はそこまでにしっかりと時間を稼ぐことだ。

　ここが正念場だな。俺が龍化を解いてしまったため、ヘイトがハーゲンに向かっている。ハーゲンは攻撃をやめて回避に専念している。今、ハーゲンが正しく身を挺して注意をひいてくれてるんだ。ここでやらなければ何が主人だ、骨達も頑張ってるんだぞ、よし。

「【乾坤一擲】ぃ！」

　スキルを発動する。これはデメリットもデカイが、俺の称号で無効化する。二本の剣を一体化させ、あのデカイ口を真っ二つにするイメージで、天駆を再び発動させて、上に向かい、渾身の一撃でっ！

「ギャアアアアアア！！」

　かなりダメージを食らわせられたようだ。だが、それでも俺は牙四本分しかやれなかった。だが、一時的にハーゲンからも気が逸れて、痛みにのたうちまわってる。

　この隙に、闘気と魔力を練る。スキルでこの工程を飛ばすことも出来るが、自分で混ぜた方が、より高い威力を出せるのだ。

『カタカタカタカタ！』

　うわっ、びっくりした、骨か、恐らく大きめの根っこを行けたのだろう。ここで決めるしかないな。

　乾坤一擲で決め切れなかった分、これで決めるぜ！　闘気と魔力を集中させ、

「【魔闘練気】！」

　三度目の天駆を発動しつつ、最後の技の準備をする。神速でさらにスピードを上げながら、空中で一旦、沈み込む、そして、

「【思念の頭突き】いいいいい！！」

　俺の頭は、相手の口の中に入り、そして、出てきた。

ーーースキル【ロケット頭突き】を獲得しました。

【ロケット頭突き】‥頭突きをする際に、爆発的な推進力を生み出して、発射する。この頭突きの速度は今までに放った頭突きの最高速度と同じになる。また、このスキルを用いてその速度を超えれば更新される。

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