第158話 食事と変化


 そろそろ俺も周りを気にしながらじゃなくて、本腰入れますか。流石に主人が一番働いていないって言われたくはないからな。主人たる者、しもべの見本にならないとだよな。


 まず、両手に剣を展開、純粋に手数を増やす。俺の個人的な意見なんだが、二刀流時は、一本だけの時よりも、手数が二倍ではなく、それ以上まで上がっている気がするのだ。恐らく、何も考えなくて、ほぼ無意識でも相手を攻撃出来るからだろう。


 まあ、それは置いといて、これだけなら、アシュラに軽く負けてしまっているからな。次は、魔法だ。それも木に聞くであろう、爆炎で。


「ナパームボム」


 この魔法は、なかなか消えにくい炎を生み出せるのだ。俺の意思で消すことは出来るが、水をかけたくらいじゃ収まることを知らない炎である。


 この炎によって継続的なダメージを与えていく。ただ、この炎の特性上、あまり燃え広がらない為、魔力が溜まり次第、発射している。ただ、流石と言うべきだろうか、なかなか効いてる様子はないし、俺の魔法も焼石に水の状態になっている。


 このまま倒し続けても、いずれは向こうのリソースを削り切ることが出来るかもしれない。ただ、いつになったら終わるのかも分からないし、何より今やっていることが意味あるのか実感出来ないと、本当にやる気が出ないからなー。


 どうしようか、あれするか、もういいや、あれしよ。


「【龍化】!」


 これで体大きくなったし、圧倒的なスケール差を少しでも縮められる。よし、この状態で食おう。全く美味しそうではないが、食うしかない。千切っては吐き出し、千切っては吐き出しを繰り返してもいいが、その分ロスが生まれるからな、ここは心を鬼にして、食うしかない。所詮ゲームなんだ、ここならなんでも出来る!


 あ、意外とイケる? 食感はスティック状のスナック菓子の硬さから、人参の千切りのような硬さくらいだ。食感は悪く無い、細いところはゴボウのようだ。


 味に関しては、何か感じてはいるが、それは味覚ではないんだよな。何かあるんだが、それが何かは分からない。そして味に関しては無だ。まあ、食感を楽しむものと思ってひたすらに食っていく。


 俺には過食があるから、食べれば食べるほど次の戦闘に有利になるし、一石二鳥だな。


 そうやって、従魔と共にどれくらい戦っていたのだろうか。かなり長かったとは思うが、ついに、再生スピードが徐々に遅くなってきた。向こうのリソースに影響を出し始めたということだろう。


 このままガンガンいくぞ!


 そう思った矢先、大樹の動きが止まった。それまでは、恐らく吸収攻撃をしつつ、数多の枝で俺らを絡みとろうとしてきた。それを俺らは、斬ったり、引きちぎったり、燃やしたり、食ったりしてたんだが、遂に相手の動きが止まったのだ。


 これは、勿論死んだわけではなく、ただの第二段階なのだろう。だが、逆のことを言うならば、第二段階に移行させるほどのダメージを与えたということだ。俺らがやっていた事は無駄じゃなかったし、更に、あいつには限界があるということもこれで証明された。


 俺は、持久走かシャトルランを選べと言われたら、真っ先に持久走を選ぶだろう。


 何故、唐突にこの話になったかというと、それだけ同じことの繰り返しがつまらないのだ。だからこそ、この形態変更はとっても嬉しいお知らせだった。


 その形態を見るまでは……


 そこにいたのは、大きな口を開いた、巨大な花だった。


 こいつって、花を咲かせる系の植物だったのかよ。それに口って、エネルギー足りなくなったから、物理的に補給しますってか? 無茶苦茶だな、おい。取り敢えず、ホネズ達に根っこの切断をしてもらおう。枝の脅威が無くなったのならば、お次は根だろう。


 恐らくここの階層全域に広がってそうだから、かなり大変そうだがな。なんか穴を掘れるような魔物でも居れば良かったのにな。まあ、ないものねだりは仕方ないな。取り敢えず向かってもらおう。そして、ハーゲンは遊撃部隊、花の意識を逸らしてくれればいい。


 そして、俺はタンク兼アタッカーで、今もなお龍状態なんだが、これはタイミングを見て、戻った方が良さそうだな。あの花に喰われて、向こうの栄養には絶対にしたくないからな……


 今からは目的は変わらぬまま、それぞれが別の行動をとっていく……


 まあ、俺はそこまで変わらないけどな。









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パッ◯ンフラ◯ーって思った方、そんな感じです。もっと禍々しくしてくれたら更に加点です!

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