第152話 無関心と目標


 そうだったのか、そういうことだったのか。今まで何となくスキルを思いの外ゲット出来るなーとは思っていたのだが、こんな理由があったとは、素直に驚きである。


 ん? だとしたら、俺は人よりもスキルを獲得しやすい訳で、そうなると、俺は他人よりも多くのスキルを持っている可能性が高いということだろうか。まあ、あくまで可能性の話だから、勿論、俺よりも多くのスキルを持っている人も多くいることだろう。


 だが、まあ、一般人よりはスキルを持っているのかもしれないな。俺は他の人との交流がなく、サンプルが俺しか無いからな、普通が分からないのだ。


「これで、およその修行僧のことは理解できたかの? うむ、では、次は、仙人の説明じゃ、仙人というものは……


 ああ、これは長くなる奴だな、さっきはモロに自分のことだったから聞く気にはなったけど、仙人になることにたいしてそんなに憧れが無いからな、でも、逆に向こうは自分のことだから熱が入る。つまり、そういうことだ。


 正直、あまり中身が入ってこなかった。俺が聞こえた内容の中で、覚えているのが、仙人は世界の神秘に触れる事が出来て、後、仙気というものが使えるらしい。


 この二つは俺もしてみたいって思ったからだろうか、覚えていた。他のことはまあ、必要なことだったら後々わかることだろう。爺さんの武勇伝とか明らかに聞く必要のないものが沢山あったのだ、しょうがない。


 それと、最後に言われた言葉一番記憶に残ってる。


「帰らずの塔をクリアしてくるのじゃ、まずはそこからじゃ」


 と言われた。これには少しワクワクしたな。なんでも、帰らずの塔というのは、ただ、冒険者が生き残れずに帰って来れないだけではなく、完全に制覇したものはそれを機に皆旅立ってしまうことも由来の一つらしい。だがそれも、何十、何百年に間の数人の話で、ここ最近は殆どいなくなったらしい。


 まあ、確かにこの塔をずっと見て育った子供や冒険者達は、これを目標にしていつか完全に制覇することを夢見て日々を歩み、鍛錬を重ねているのだろう。その為、もしクリアしてしまったらどうしても外の世界を見たくなるのだろう。


 それにしても、この塔のクリアをさせるってことは、勿論、あの爺さんもクリアしてるということだろう。


 やっぱりあの初対面のせいで、第一印象が悪すぎただけで、本来はもの凄く強く、素晴らしい人なのかもしれないな。いや、俺に奢らせようとした時点でダメだな。普通年長者が奢るだろうがよ。


 帰らずの塔のクリアという目標が伝えらえてからは、すぐにお開きとなった。次会う時は、お主が塔の頂上に登った時じゃ、そう言われて気づいたら俺は……街の広場にいた。


「えっ?」


 さっきまでは、あの爺さんの小屋に居たはずだ。どうやってここまで連れて来られたんだ? いや、最初からここにいた? これが仙人の、これが師匠の力か。早いうちに追い越さないとな、そしていつか同じことをしてやろう。


「ハーグェン!!」


『もー、ちゃんと呼んで下さいっすよ、ご主人様。俺っちはハーゲンっすよー』


『すまんな、ハーゲン。それよりもいいお知らせだ。今から狩に出かけるぞ』


『ま、まじすか? 狩っすか? やる気が漲ってきたっす! 場所はどこっすか、超特急で向かうっすよ!!』


『帰らずの塔だ、あそこを完全制覇するぞ』


『了解っす! 全力で向かいますっすよー!』


ーーー称号《魔物の支配者》を獲得しました。


《魔物の支配者》‥ある一定以上の強さの魔物と心を通わせる。魔物に命令が更に効きやすくなる。更に従えている魔物のステータスがなつき度に応じて上昇する。

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