第144話 連携と目覚め
これはまずい、かなりまずい。まさか同時とは、遠距離と近距離、魔法と物理で棲み分けられていたから、可能っちゃ可能だし、こうなる事を心のどこかでは予測していたのかもしれないな。だからこそ、心の奥そこから嫌だという感情が出てきて、それを吐露してしまったのかもしれない。
だが、それでも、予想することと、実際に体験する事は違う。またもや反撃の機会を失ってしまった。だが、不幸中の幸いとして、スキル疫病耐性を獲得したのだ、さっきまでは体が動きづらく、気合とノリで耐えていたんだが、このおかげで本当に体が軽くなった。
疫病は時間と共に深刻さが増していき、徐々にダメージを食らっていく。それを俺は自動回復で補い、体の不調は気合でどうにかした。だが、実際はかなり末期だったのだろう、スキルのおかげでかなり楽になった。でも、まだ本調子じゃない。無効にしてくれるまでもう少しの辛抱だ。
それにしても体が軽くなったのと、相手の攻撃が苛烈になったのがほぼ同時だったからか、気持ち的には意外と楽だ。実際さっきの六パターンから、九パターンに増えただけだしな。それに、おんなじ鳴き声はしないらしく、結局六パターンなのだ。
だから、避ける難易度は上がったのだが、脳の容量でいうとそんなに変わらない。鳴き声の判別が難しいくらいだ。まあ、それがだいぶ大きいんだが、もう幾度とも聞いてきたからな、案外体が慣れているもんだ。
このモードに入ってからは、ガルガルが入ってる時は完全に避けることだけに専念しないといけない。つまり、反撃の機会が減るのだ。だから、可能な時に出来る限り反撃しないといけない、でもそこで欲を出してしまうと、足下をすくわれる。見極めが肝心なのだ。
そんなこんなで、一進一退が続いている中、俺の持っている一つのスキルが大活躍してくれた。それは、
効率化だ。これはいつだったか、アジト潜入の時くらいに獲得したものだったはずだ。まさか、この場面で役に立つとは思っても見なかった。というか、存在を今の今まで忘れていた。
恐らく、今俺が行なっていることが作業と認定されたのだろう。こっちがこんな作業、つまんねーって言うならまだ分かるが、ゲーム側からホネホネ業認定されるとはな。まあ、実際そうだからいいのだろう。
だが、その分効果は絶大だ。鳴き声を聞いただけでほぼ自動的に回避から反撃までの流れをやってくれる。かなり凄いが、ガルガルが含まれる時、つまり俺が反撃できていなかった時は流石に反撃してくれない。あくまで、俺が出来る、していた範囲内で、ということだろう。
まあ、そのおかげで、大分楽になったし、考える必要がなくなった為、反撃の手数もかなり増えた。やはり、何事も効率化することが大事なのだろう。そして、遂に……
「ギャアアアアーーー!!!」
今までとは明らかに違う鳴き声が聞こえた、耳を劈くような鳴き声だ。もう、この鳴き声の発信源は確認しなくても分かるだろう。あの、ションボリ顔面だろう。
そう思って確認すると、ションボリが消えていた。そして、そのかわり現れていたのは……激おこプンプン丸だった。
ニヤケとは明らかに違う、そして凶暴さとも似て非なる、怒りに燃えた瞳がその顔にはあった。
メソメソしていたかと思ったら、急にキレやがって。そんなんだと、学校でみんなに嫌われるぞ! まあ、地獄の番犬さんが学校に行くかよっていう話はナシだ。
怒り顔面の登場で、また、攻撃パターンが変わるのだろう、そして、恐らくこれが最終ステージだな。ってか、むしろそうじゃなきゃ困るぞ。死の軍団から合わせてどんだけやってるんだと思ってんだ、そろそろ寝たいぞ。
「「「ガルっ!」」」
まあ、そう来るだろうな。さて、お前は一体どんな攻撃をしてくるんだ?
「よしっ、ここが正念場だ!」
声に出して、再度気合を入れ直す。ここからは、もうはっきり言って気合だけだ。もう、頭も使いすぎてしんどいからな。並列思考でなんとか分散させてはいるが、ここまでの連戦は流石に堪えるな。
そうして、気合を入れ直した俺に向かってきたのは、針と噛みつきと、そして……あれ?
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