第143話 反応と変化


 よし、ここからは反撃開始だ。


 このまま避けてたら負けることはなくても、いつまで経っても勝てないからな。それに、時間経過で攻撃パターンが変わる可能性もある。そうなったら、いよいよお手上げだ。そうなる前に確実にダメージを与えていきたい。


 中ガルル! ホーミングだ、これは少しだけ余裕がある。全部が無くなるまでケルは動かないからな、ここで俺は更に工夫を加える。


 ただ相打ちさせてホーミングを消すのではなく、ある程度引きつけてから、ケルちゃんの所まで全力で走る。そして、数撃を加えた後で、天駆込みで大ジャンプ!


 ズドドドドーン!!!


 こういうボスの時は、相手の攻撃を利用して攻撃するというのは常識だろう。こうでもしないと攻撃を加えられないからな。


 左ガル! これは一番際どい。超集中して、脊髄反射レベルにまで持っていかないと、戦闘中に回避は難しいな。だが、少し技後硬直がある、そこを狙って攻撃していく。


 左ガルガル! これは前脚から四つの斬撃が放たれる。縦、横、斜め、斜めだ。これは自分をいる所を起点にして発動されるから、前脚を振った瞬間に、サイドステップで縦を回避、次はジャンプ、そして左右に転がりながら斜めを回避する。これは初見では普通に死にかけたやつだ、だが、ここで油断してはいけない。最後に上から、降ってくるのだ。それを天駆で躱しつつ、地面に突き刺さった爪を抜いている間にダメージを重ねていく。


 これをただひたすらに繰り返す。中ガルも針攻撃は、吠えた瞬間に飛び出して、斬りつけることが出来る。ほんの僅かな時間しかないが、少しでもダメージを稼ぐ。


 左ガルルルの尻尾は一番余裕があると言ってもいいだろう。空中に飛ぶため、攻撃までが長いし、技後硬直もかなりある。一番安全なんだが、もちろん理由もある、威力が段違いなのだ、直撃しなくても振動で体勢を崩してしまうし、ある意味注意が必要だ。


 だが、それでもチャンスであることには変わりない。左ガルルルと頭が唱えた瞬間に、ケルに近づき、空中まで天駆で追って攻撃し、向こうが降りた後で着地することで、揺れを無効にして、追撃する。


 中ガルガルは弾幕だ。空からの流星群が全方位に降ってくる。だが、一箇所だけ降ってこない所があるのだ、そこはもちろんケルベロスの所だ。この吠え方が聞こえたらいち早く移動しなければならない。安全地帯に入れたら、攻撃し放題だが、入れなかったら、回避で精一杯だ。


 よし、もう殆ど反射て動けるようになったし、かなりダメージを加えられている筈だ。だが、攻撃を受けている様子はないし、行動パターンもまだ変わっていない。それなら今のうちになるべくダメージを稼いでやる!


 そう思って攻撃をすると、初めて相手が怯んだ。そして天を見上げて……


「ガルルルルルルーーーー!!!」


 吠えた。かなりご立腹の様子だ。恐らくというか絶対行動パターンが変わるのだろう。ここで、右が投入されるのか? ションボリ顔の攻撃パターンは未知だから、そこだけは注意だな。


 右が参戦してくると思ったのだが、違ったようだ、まだ参加しないらしい。この戦いで本当に参加するのだろうか? それとも、何かのトリガーを引かないといけないのか?


 っとそれよりも、新たな行動パターンを分析しないと、攻撃方法が変わるのか、それとも、頻度が変わるのか、それとも……


「ガルっ!」

「ガルルル!」


「うわー、まじかよ」


 思わず声に出てしまった。一番来て欲しくないのが来てしまったのだ。


 それと同時に左の噛みつきと真ん中のホーミングが息を合わせて、俺に襲いかかってきた。

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