第142話 記憶と恐怖
そうなんだよ、こいつは恐らく最後の最後で火を吹くタイプだろ。ショボい顔だからって油断しないぜ。
それにしても、三首でそれぞれ顔がちがうんだな。結構前に戦ったホワイトツヴァイタイガーは、二つ首だったけど何か理由があるのだろうか。あいつは、かなり高度な連携を使ってきたからな、こいつらはどうか知らないが、気をつけておくことに越したことは無いだろう。
それと、従魔達は一旦下がらせて元に戻した。ぱっと見かなりの強敵であるのは間違い無いし、流石に俺がフォローできるかどうかも怪しいしな。自分だけで手一杯になる可能性もあるからな。あと、単純にもしもの時が怖い、俺の従魔が死ぬところなんて見たくも無い、普通に嫌だからな。
ってな訳で俺一人でこいつと戦うわけだが、
〈Lv.115 ケルベロス〉
よくよく見てみると、地獄の番犬さんでした。確かに、赤黒を基調に、所々メタリックな首輪だったり、足に切れ味が良さそうな、付け爪が付いてるぜ。おっかないなー、誰も地獄にいかないからさー、見逃してくれよー。
ん? ちょっと待てよ?ケルベロスがそこの門から出てきた、そして、ケルベロスは地獄の番犬だ。ってことは、あれは地獄の門ってことだよな? 沢山アンデッドも出てきたし、なら、俺もあそこに行けば、地獄に行けんのか?ちょっと気になるな、これはなんとしてでもこのケルベロスを倒さねばならんな。
よし、まずは様子見だ、そう思い、神速、ゾーン、高速集中を発動し、剣で斬りかかろうとした矢先、
「ガルっ!」
凶暴そうな奴が吠えた。すると、足元から急に何本もの針が飛び出してきた。あまりにも急に唐突だったから、対応できずに、食らってしまった。幸い物理攻撃は無効だから大丈夫だが、その針が纏っている、禍々しいオーラにやられてしまったようだ。状態異常:疫病、となっている。
くそ、状態異常はかなりやっかいだぞ、毒じゃないから無効化もされない。この状態異常はダメージを与えるものでは無いが、なんだか体が鈍くなってきた。上手く脳の命令が効いていないのだ。このままではまずいな。
「ガルっ!」
今度は左のニヤニヤした奴だ、因みに凶暴が真ん中でしょんぼりが右だ。どんな攻撃をする、どうくる?
「はっ!」
今度は避けられた、ゾーンと高速集中と神速のおかげでなんとか見切れたようだな。相手は吠えると同時に噛みつき攻撃をしてきた、それも超速で、とても早かったがなんとか紙一重で避けられた。それにしても、体が重いぞ、このまま大丈夫なのか?
「ガルっ!」
今度は、また真ん中っ!斜め右横上にジャンプして避ける、天駆も軽く使った。今度は右かと思っていたのだが、中々難しいぞ。
「ガルルルっ!」
今度は左! でも鳴き声が若干違うぞ?そう思ったのも束の間、ケルベロスは空中に飛んで、くるりと周り、尻尾を叩きつけてきた。
よし、これなら見てからでも充分間に合うな。だが、鳴き声は一つじゃ無いのか…これは本当は鳴き声に囚われるべきじゃないのかもしれない、全神経を研ぎ澄まして、回避に注いだ方がいいかもしれない。
いや、それだと、攻撃が出来ない。ならば、今はするべきことは、全神経を使って、こいつの全パターンを体に覚えさせることだな。よし、いつまででも付き合ってやるぜぇー!
真ん中ガルルは、先ほどの禍々しいオーラ付きのホーミング弾の発射、計十個だ。これはホーミング同士をぶつけるか、ぶった斬る事でノーダメ、さらにホーミング中はケルちゃんは動かない。
「ガルっガルっ!」
真ん中ガルガル、これは新パターンだ、これは空から弾幕が降ってくる。反撃は不可能だが、その分撃ってくる頻度は少ない。
左ガルガルは、斬撃を飛ばしてきて、最後に跳躍からの爪での振り下ろしだ。
よし、だいたい分かった。頭の中で判断する時は真ん中の顔がガルっ、っと吠えたら、中ガルに、左の顔がガルっガルっ、っと吠えたら左ガルガルと称して、判断をはやくしている。
ガルっ、ガルルル、ガルっガルっの順で脅威度が上がっていき、その分頻度も下がる。そして、左が物理攻撃主体、真ん中が魔法攻撃主体と言った所だ。今のところはこの三通りの吠え方で計六通りだ。これらは完全に頭に入った。
だが、懸念すべきことはまだ一切右が攻撃してこないということ、それにまだ一人ずつしか攻撃してきてないのだ、最後までそれならいいのだが、途中で二人、もしくは三人同時で攻撃されたら、かなりキツイ。俺の不死システムが効かないだろうしな、これはまずいぞ。
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