第141話 軍団と番犬
ボスを倒したので、城を出て次の街、第四の街に進もうと思っていたのだが、ボスを倒した時にありがちな、転移できそうな魔法陣みたいなのはでてこなかった。ズゴゴゴゴと音を立てて奥の壁が開いたのだが、それも外に出る為のものではなく、まだ先に続いているような感じだった。
「まじかー」
まだ続いてんのか、もうアンデッドはいいんだけどなー、お腹いっぱいだ。次には俺の番とか言ってたが、次のボスもハーゲンに任せよ、あんまり気分が乗らないしな。
その奥の壁から現れた通路を進んでいくと、そこも至るところからアンデッドが湧いてきた。殆どハーゲンに任せて撃ち漏らしたやつだけ俺が処理していく。
そんなこんなでどんどん奥へと進んでいくと、いかにもな闘技場のような、大きな広場に出てきた。イメージとしてはここにリングとかあれば闇格闘技とか行われてそうな雰囲気だなー。まあ、気分が良いものではないな。さっさとボス倒してもらって、早くここから出よう、死の国は長居するもんではないな。なんとなく気分が滅入るから、どんなに健康なメンタルの持ち主でも多少はヘラりそうだ。
そんなことをボケーっと考えていると、どこからともなく門が現れた。そして、その扉が開いたかと思うと、そこから、無数のアンデッドが溢れ出してきた。
『ハーゲンッ! 俺も加勢するが、一緒に手伝ってくれ! 流石にこの量は洒落にならんぞ!』
『わ、分かりましたっす! 俺っちも頑張るっすよ!』
突如現れたお化け集団に俺らは慌てて対応した。ハーゲンは嘴と脚と体を使って、俺は剣二振りと時折魔法を撃って応戦している、それでも死の軍団は収まることを知らない。これでは埒が開かないな、あいつらを呼ぶしかない、
「スカル、ボーン、アシュラ!!」
よし、これで大分手数が賄えるようになったぞ。これで、どんどんモンスターで溢れていくという事態は避けられた、ここでこんなにアシュラが役立つとはな。だが、それでもまだまだ多すぎる。徐々にモンスターの排出量増えてないか? それに、モンスターの格? 強さも上がってる気がする。
ふう、どれくらい経っただろうか。五時間くらいだった気もするが、せいぜい一時間くらいな気もする。ただ、体感はめちゃくちゃ長くて、しんどかった。
ーーースキル【一騎当千】を獲得しました。
【一騎当千】‥一対多数の時に、全ステータスが微上昇。また、連続で敵を倒せば倒すほど、STRが上昇する。
この一騎当千を獲得してからは早かった。ほぼ敵を一刀両断出来るので、さらに効率が上がり、指数関数的に敵を倒していった。そして、ついに、
「おらぁ!!」
はぁ、はぁ、やっと倒し切ったぜ。でも、これではいクリアとはいかないだろうな、こっからまだ続くとなると結構気持ち的にしんどいなー。
これから始まるであろう戦闘の事を考えると、体が重くなってしまうのだが、ここで気持ちを切り替えて、もう一度奮い立たせる。そうだ、どうせ、死ぬ事は無いんだ気楽に行こう、俺が無茶苦茶熱くなるのもなんだかなって思っちゃうしな。適当にやって勝てればそれでいいんだ。負けたら、勝つまでやれば良い。でも、あの軍団をもう一回倒すのは流石に嫌だから、やっぱ気合入れよ。
そうして、臨戦態勢を整えたまま待ち構えていると、門から現れたのは……三首のワンちゃんだった。それに、三つとも顔が違うのだ。一つはいかにも凶暴そうな顔、もう一つはニヤニヤしてて気持ち悪い顔、そして最後の一つは明らかに気が弱そうでしょんぼりした顔だ。
知ってるぞ、こういうのって最後のしょんぼりしてて役に立たなさそうなのが、最後思わぬ攻撃を食らわせてきたりするんだろ。流石にその手には引っかからないぞ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます