第140話 可能性と可能性
戦闘が終了してしまった。ハーゲンが最後に見せたあのカッコいい声と魔法はなんだったんだろう。本人に聞いていいものかどうか悩むな。
もしかしたら、キメラになったことが原因なのかもしれんな。素材にしたモンスター達の意識というか、記憶のようなものが、何かの切っ掛けで表層に上がってきたのかもしれないな。
現実でも、臓器移植した人に記憶転移のようなものが見受けられたりもするそうだからな。まあ、ただ、ハーゲンが気合入れて本気を出しただけかもしれないしな。特に気にすることもないか。
「レベルアップしました」
あ、レベルアップした。ってか、俺、一切戦闘に参加してないぞ。俺が経験値もらってもいいのか? まあ、従魔の仕様がそういうものだから仕方ないだろうけども……
こうも戦闘に参加していないとなんか体が鈍る気がするな。ハーゲンが言ってたのはこういうことなのか、定期的にお互い戦闘に参加しないといけないな。
「ん?」
ふと、ログを見ていると、強靱な骨というものをゲットしていた。まるで、強制進化の素材に使ってくれと言わんばかりだ。まあ、折角ハーゲンが倒してくれたんだし、使うか、と思って、スカルとボーンを呼び出そうとしたところで、ふと我に帰った。
あの、骨を使ってしまったら、ムキムキになってしまうくね? スカルとボーンがムキムキになるのか、うん、嫌だな。別にマッチョやゴリゴリが嫌いというわけではないんだが、どちらかというと、スマートだけど、パワーもスピードも兼ね備えてるタイプの方が俺は
タイプなんだよな。という訳で、こいつらに使うのは、却下だ。
ハーゲンはムキムキにしたくないし、もし、ムキムキにして飛べなくなったら、大惨事だ。それは絶対に、あり得ない。
となると、残る選択肢はアイツしかいない。でもなー、十腕骨は、元からゴツいしなー。あれから更に、ゴリマッチョ要素を加えたらどうなるんだ? STR的に言ったら俺なんか余裕で超えそうだけどな。
よし、もういいや、そいつに使っちゃおう。なんか考えるのも億劫になってきた。どうせ、こんなもの持ってても仕方ないし、もし、必要になったら、また、ハーゲンに倒してもらおう。
「十本腕ー、【強制進化】」
もう、最近何度もやっているので、慣れた手つきで進化を執り行った。すると、テンアームスケは薄紫色のベールに包まれ……
腕が六本になっていた。
「従魔:スケルトンソードマンデケムが、スケルトンアシュラに進化しました」
ゴツい……それに腕が四本も消えてるんだけど。アシュラってことは顔三つ、腕六本の、あの阿修羅様だよな? だから、コイツも顔が三つあるのか、其れにしても、なんか微妙にスマートになってしまったな。腕十本のデカいスケが、更に巨大に、ゴツくなるのを期待してただけに、少し拍子抜けだな。まあ、こっちの方がまだ人目を気にしないでいけるからいいのはいいのか?
それにしても、腕四本分は何処にいったんだ? 仮に三本分は顔に使われたとしても、残りの一体は? 剣とかが気持ち強そうになって、顔も気持ちイケメンになったからか? 一本分のリソースがそっち方面に使われたんだろうな、多分。
よし、ではさっさとここから出て次の目的地に行こう。元々は、次の街の帰らずの塔に行こうとしてたんだからな、要らぬ道草を食ってしまったぜ。
……まあ、ハーゲンのせいでそんなには食べれなかったけどな。
次は俺の番だからなー。
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