第138話 殲滅と期待


 あっという間に庭にいる敵を全てハーゲンが倒してしまったので再び庭に静寂が訪れてしまった。命の気配も全くしない、まあそれで困ることもないし大丈夫だろう。


 とうとう城の中に侵入する。やはり、新たな場所というものは、少なからず心躍るものであるな。それも見た目は凄く立派な死の国のお城ともなれば当然だろう。よし、中に入ろう。


 城の中は薄暗く、いかにもな内装で、お化けが出てきそうな雰囲気だった。そう思って辺りを警戒していると、急に地面から手が生えてきた。


「うわっ! びっくりしたー」 


 ダメージからすると大した量ではなかったが、とにかく心臓に悪いな。お化け屋敷とかでも怖いのは平気何だが、驚かされると普通にびっくりしてしまう。ま、人間だから仕方がないのだ。反射をとめることは出来ないからなー。ほんと、やめて欲しい……


 出現する敵は主に今までとは変わらない。庭ではスケルトンだけだったから中も偏った編成かと思ったが、今のところ満遍なく出て来ている。


『ご主人様ー、大変っす! なんか変な部屋に入ったら変な敵が沢山現れたっす! 気持ち悪いっす!』


 先に行かせていたハーゲンから連絡が入った。内容から察するに恐らくモンスターハウスにでも引っ掛かったのだろう。それにしても、変な部屋に入って変なモンスターが沢山って……もう少しまともな連絡は出来なかったのか?


『わかった、今から応援に行くぞ。大体でいいから居場所を教えてくれ!』


『え? 大丈夫っすよ、ご主人様? 丁度今、全員敵を倒したっす。なんかおでこに札を貼り付けて無限にぴょんぴょんしてきて気持ち悪かったっすけど何とか倒せたっす! 御気遣いありがとうございますっす! あ、まだ先に進んでてもいいすっか?』


 なら何故連絡した。変なことが起きたから連絡しただけとでも言うのだろうか。ハーゲンは予想以上に幼いのかもな、年齢なんて聞いたことないからな。


 それにしても、変なモンスターって、キョンシーだったのかよ。ま、それなら変なモンスターって言ってたのも頷けるか。でも、こんな西洋のお城にキョンシーって雰囲気ぶち壊しだろ。もしかしたら、モンスターハウス限定なのかもしれんな。


『ご主人様! なんか大っきな扉があるっす! 入ろうとしたんですが、びくともしないっす、どうすれば良いっすか?』


 早いな、もう、ボス部屋まで辿り着いたのか。ハーゲンだけでは開けられないということは、恐らく、プレイヤーがいないと開けられないか、ハーゲンがパーティメンバー扱いされていて、全員が揃わないと開かないパターンのどちらかだろうな。


 あんまり待たせるのも可哀想だから、俺も先を急ぎますか。


「【神速】」


 ハーゲンの気配を辿りながら進んでいくと、無残なことになっている死体がそこら中に落ちていた。ポリゴン化している最中のも多くあるがそれでも酷い光景にかわりはない。モンスターハウスをチラッと覗いて見たのだが、も単純なる地獄絵図だった、キョンシーって人型だから尚更グロかったな……


 そんな紆余曲折を経て漸くハーゲンに追いついた。するとそこには、豪華な装飾がびっしりと施されたおおきな扉があった。間違いなくここはボス部屋ですよと言わんばかりの圧巻さだ。


 いや、早すぎないか? 城の前の門に付いてからどれくらいたったか? こんな感じでクリアするものなのか? いやまあ、違うと言われてもクリアはするけども。それに、今から大トリであるボス戦が待ってる訳だしな。


 もともと、道中は雑魚キャラだけで、ボスだけめちゃくちゃ強い可能性もあるからな。期待していこう。

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