第135話 ハーゲンと気持ち


「いや、貴方とのテレパシーは大丈夫です。取得方法だけ教えてください」


「そ、そうか、では分かった。テレパシーとは、それを行う対象と自分の魂を魔力で繋ぐことで可能となる。そうすればスキルを獲得できるじゃろう。

 しかし、こんな簡単な事でいいのか? 儂はもっと凄い情報を貰った上に、まともな答えを出してあげれてないのだぞ? もっと教えてやってもいいのじゃ。何かないか?」


 こ、こんなに簡単に念話もといテレパシーが使えるようになるなんて……まだ使えるようになってはないが、これだけとは……そして、俺の今までの試行錯誤、それに、念話に繋がる記憶をどうにか辿ろうとした俺の努力、それはなんだったんだ?


 ま、まあ、それらのお陰でここまで辿り着いたと考えてればいいか、いいな。よし、なら切り替えて早速テレパシーをゲットしようじゃないか! まずは……


「ハーゲン!」


 さっき進化させた後に出しっぱなしにしておけば良かったな。まあ、こんな所で念話に急接近かつゲット出来るとは思わなかったからな。


 最初は魔力を動かして、っと。そして、俺の魂を意識して、魔力で覆っていく、うん、いい感じ。


ーーースキル【精神防御】を獲得しました。


【精神防御】‥魂への直接攻撃を防ぐ。MPを消費すればするほど防御力上昇。


 おっと、俺の凝り性が発動して、魔力で綺麗に魂を覆っていたら、まさかの変な寄り道をしてしまったな。だって、魂だぜ? 綺麗に覆いたくなるよな?


 まあ、とりあえず、第一段階終了。第二段階は魂を覆った魔力の一部を腕の方に伸ばしていく。これはもう適当でもいいな、大分魔力の操作にも慣れてきたし問題ないな。


「ふぅ、」


 まずは、この状態でキープする。そして、


「ハーゲン、聞いてくれ。今からお前の体に何か変なものが入ってくる、だが、それは悪いものなんかじゃない、ただの俺の分身だ。だからそれを受け入れて欲しい、そしたら、俺らは更に一つ上の段階に行けるんだ」


 ハーゲンは相変わらずキョトンとした顔でいる、分かってるのか分かっていないのかを俺が知る術はない。だからやるしかない。もしも嫌だった場合はテレパシーで謝ろう。


 ここからは集中モードだ、ゾーンと高速思考を発動する。そして、ハーゲンに魔力を流し込んでいく。魔力でハーゲンの体の内情をなんとなく理解しながら、魂まで辿っていく。


「え?」


 魂は俺の場合、心臓の位置にあったので、ハーゲンもそうだろうと思っていたのだが、まさかの事件が発生した。


 ハーゲンはもう、キメラになってしまっていたのだ。


 構造が人間と、そして一般的な鳥とも違うのだ。側から見たら、ただ繋がっている、くっ付けただけのように見えるが、実際の中身はかなり違う。ハーゲンと素材にとって、お互いは異物でしかないのだ、所詮、理に反して生を繋げ、弄んでいる、悪魔の所業といったところか。俺はハーゲンになんてひどいことをしてしまったのだろうか。


 今、ハーゲンの体は生を保とうと、存在し続けようと、全力で抗っているような状況だ。ならば、俺がすべきことは一早く開通させて謝ることではないだろうか。元に戻す方法が分からない今、俺にできることはそれくらいだろう。そして、


「はぁ、はぁ、よし、ようやく開通したぞ!」


 俺は必死になって、魂までのルートを辿った。そしてとうとう見つけた、心臓部はハーゲンの一番大切な場所、翼の付け根にあったようだ。ついに、漸く声が聞ける!


『ハーゲン、ハーゲン! 大丈夫か? こんな姿にしてごめんな?』


『お! ご主人様! 何をしてるかと思えばこれの為だったんすね、お疲れ様っす! 少しくすぐったかったけど、大丈夫っすよ! それより俺、狩り行きたいっす!』


 あれ、なんか思ってたのと少し違う。

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