第134話 宇宙と念話
この爺さん強制進化教えたら、急に検証モード入りやがったからな、こっちも情報もらうからな。
「おぉ、すまんの。では先に教えてからにするか、検証には時間がかかるからの。
宇宙、じゃったか、宇宙か、前にこの世界には宇宙があるんだ! と言っておった若者がおったの、この世界の外側には無限の宇宙が広がっていて、まだ見ぬ生命体や文化がそこには広がっている、と。
じゃが、勿論それは誰にも受け入れられなかった。自分達よりも高度な発展をしている者達が他にもいるなんて考えられないし、そもそも、この世界の外側のことなんて誰も考えておらんかったからの。結局、その男は虚言の罪によって処刑されてしまったのじゃ。
そして、そのまま月日は流れ、今に至るのじゃ。故に、誰も宇宙のことなぞ知らず、ぬくぬくと暮らしておるのじゃ。儂もその一人じゃな、今のこの世界に宇宙という単語を知っている者がどれほどいるかという話じゃ、極々わずかじゃろうて。
じゃが、最近、儂は本当に宇宙が存在するかもしれんと思い始めてきた自分もいるのじゃ。そして、もし、外の世界があって、それも無限に広がっているのならば、それのどれだけワクワクして、興奮することじゃろうかと、たまに夢見ることはあるの。じゃが、行き方や、存在の証明の仕方も分からん以上、どうしようもないがの。
それにしても、何故お主は宇宙の事を儂に聞いたのじゃ? まあ、儂に聞いたのは正解じゃたな、他のものは名前から知らんだろうからな、こればっかりは年の功というものじゃ」
あっ、そんな感じなんだ、宇宙の存在についてもう完全否定じゃん、なんか恣意的な力でも働いてるのか疑いたくなるレベルだな。別にその人殺さなくてもいいだろ。じゃあ、太陽や月、星などはどんな風な理由付けがされてるんだ?
それに、なんで聞いたのかについての理由は答えられないやつだな、だってただ死ぬ為ですだなんて答えられないし。
「そうなんですか。では、昼間に輝いてる、あの物体についてや、夜空に輝いてるモノはなんだと思われているんですか?」
「ん、なんじゃ? 太陽と月か? あと、星か。それらは何も無いじゃろ、ただの太陽じゃし、月、星じゃ。そういうもんだと思われておる」
「では、それらは何処にありますか?」
「何処に? 変な事を聞くの、お主は。空に決まっておる。地面にあっても、しょうがないじゃろ」
まじか、こんなにやばいとは思ってなかったな。まあ、そんなもんか。毎日モンスターと隣り合わせの空間で明日を生き抜くのに精一杯ならそういう分野は発展しないのもおかしくないか。俺らの世界でも、古代に奴隷に周りの世話を全てさせて暇になった奴らが一日中考えまくった結果だからな。
でも、それならそうでこっちの王族、貴族は何してるんだ? 毎晩毎晩女を侍らせたりでもしてんのか? まあ、まともな奴はいなさそうだよな、節度がないイメージだ。
「納得がいく答えを出してやれんですまんの、こんなに素晴らしい情報を提供してくれたのにも関わらず、忝い。よかったら別の情報を教えてやろう、儂の教えられる範囲でな」
そっかー、まあ、確かにそうなるか。宇宙に行けないだけでなく、存在すら否定的なら素材のことすら聞いても無駄だろうからな。ただ頑丈な素材について聞いてもいいのだが、本当にいけない、あるいはまだ未実装、という可能性もある。それ故のこの反応だったかもしれない。なら、俺が聞くのは……
「念話って知ってますか? 念話について知りたいのですが……動物やモンスターと会話してみたいのです」
まあ、ダメ元で聞いてみるか、と思って聞いてみたのだが、爺さんから発せられた言葉はまさかの返答だった。
「ん? 念話? モンスター達と話す? それはテレパシーのことか? テレパシーの事でいいなら容易い御用じゃ。取得方法を教えてやろう、なんなら儂とテレパシーするかの?」
え、こっちってテレパシーなの? ってかそれってそんな簡単なことなの? え、もう獲得出来るの? なら、今までの俺の行動はなんだったの? え?
でもただ一つだけ分かることがあるとするならば、
お前とは死んでもテレパシーはしたくない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます