第133話 説明と実演
やば、進化に興奮してて、すっかり爺さんのこと忘れてたな。よくないよくない、だが、爺さんも急に手のひら返してきたな。さっきまでは余裕綽々といった態度だったのに、もう今では土下座しそうな勢いじゃないか。まあ、こっちは気分が良いんだけどね。
それで、なんだっけ、このハーゲンが知りたいのか。うんうん、このハーゲンカッコいいからね、分かるよ、どうしても知りたいんだよね。教えてあげようじゃないか。
「これはですね、私の従魔で、ハーゲンという名前でして、モンスターの種族はターバリーダークウルフォークと言います。そして、こいつの強さとカッコよさは……」
「そんな事は知っておる! お主が今しがた、何をしたのか、そしてターバリーホークがどうしてターバリーダークウルフォークになったのかということを聞いておるのじゃ! そもそも、儂はこの世界のモンスターをほぼ全て知っておるのじゃ。モンスターのことをお主に教えられるほど落ちぶれておらんわ!」
あっ、はい、そうですか。ちょっと俺もテンションあがり過ぎてたな。ってかこの世界のほぼ全てのモンスターを知っているとか恐ろしいだろ、そりゃ俺の出すモンスターが悉く知られているわけだ。
それに、知りたいのは強制進化の方かよ。逆に全モンス知ってるのになんでこれは知らないんだよ。知識に偏りありすぎるだろ。まあ、いいよ教えてやるよ、そのかわり俺もしっかり教えてもらうからな。
「えー、今行ったのは強制進化と言って、モンスターを素材などを用いて強制的に進化させるスキルです」
「なに!? 強制進化じゃと? そんなスキル聞いたこと無いぞ? それでどのようにするのじゃ? 素材はどんな素材が使えるのじゃ? 使った後はどうなるのじゃ? そもそもそれをどうやって手に入れたのじゃ?」
いや、多い多い、質問が多いよ、すんごい知識欲だな、おい。知識欲って一番賢いっていうか頭の良い欲だよな。その欲によって人生終わるどころか良い方向に向かって行くだろうし、性欲、金欲、自己顕示欲とか、まあ、一概に悪いとは言えないかもだけど、それよりかは断然いいよな。まあ、だからと言って答えなくていいとかはないが。
「素材は基本なんでもで、使った後は消えますよ、これは悪魔を倒した後にですね、その心臓から……」
「なに!? 悪魔じゃと? 本当にいたのか……く、詳しく教えてくれ! なんでも教えるから! それに、強制進化についても実演してくれ! 素材ならここに沢山ある、何でも使ってくれて構わん!」
あー、これはまた爺さんの知識欲に火を付けちゃったやつかー。やっちまったな。でも悪魔の件は全部、研究室の爺さんに任せよう。そうすれば押し付けられるだろ、それに、こんな知識の塊みたいな人使えない訳ないだろうから、役立ててもらってね。
って、実演か、素材使い放題はやばいだろ、めちゃくちゃ凄いオーラ放ってる素材もあんだけど……よし、ここは向こうが良いって言ったんだ、思い切って行こう!
「えーとですね、こうやって素材を持って、【強制進化】! はい、これだけですね!」
ある一つの素材を用いて、強制進化を行うと、そこにいたはずのハーゲンが、更に進化して現れた。翼が巨大化し、顔もより凛々しくなり、とこどころ黄色い模様が入っている。
「従魔:ターバリーダークウルフォーク、個体名:ハーゲンがブラックサンダーキメラに進化しました」
「ほぅ……これが強制進化、未知なる生物を生み出す力か……素晴らしい。じゃが、こうなってくると、いろいろ検証が必要になってくるの、まずは、あいつとあいつか、いや、悪魔の存在も考慮すると、あいつとあいつか? いや、じゃが、あいつも捨てがたいか、それよりもあいつか? いやいやいや、……」
いやいやいやはこっちのセリフだよ。悦に入ったと思ったら急に検証モード入りやがって、こっちにも用があるんだよ……
「すみません……宇宙の話について教えてもらってもよろしいですか……?」
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