第129話 念ずる話
「いーや、そうじゃねぇんだよな」
なんだよ、ドヤ顔で頷きやがって、それだとただ俺がハーゲンに伝えただけじゃねぇかよ。それだけなら、こんなまどろっこしいことしなくても口頭でなんとなく伝わってただろ、今までも。
んー、ということは、向こうから届けることの出来る仕組み、というか何かが必要になってくるな。向こうからの思念、思考や感情が乗った魔力が俺に届けば、同じ様に俺に伝わるってことなんだからな。そう考えると、これは無駄ではなかったんだな。良かった、ただハーゲンのドヤ顔だけだったらメンタルくるかなー。だが、そうするにはどうすればいいんだろうか。
全く良い方法が思い浮かばんな。こういう時は、現実の物を参考にして、考えてみよう。お互いの言葉を伝える物、双方向に連絡できる物、として現実に存在するのは、やはり携帯電話だろうか。うん、だが、携帯電話は電波によってそれを可能にしているが、魔力でそれを行おうとしてもただのサイコキネシスになってしまった。
では、他の案を探そう。電話関連はもうダメだろう、電話線が必要だからな。電話線? ん? 何か引っかかるな、いや、まあいいか。さらに古い手法でいうと、手紙か。手紙は確かに双方向の連絡手段ではあるが、タイムラグがあるし、あれは結局、ただ機械に運ばせてるだけだしな、参考にはならないか。
もう、これくらいしか思い浮かばないぞ。なら、途中で引っ掛かった電話もとい電話線について考えてみよう。でも電話線と言ってもかなり前の時代の話でそういうものがあった、という程度の認識でしかないからな。詳しい仕組みもよく分からないし。どうしたもんかな。
でも、やはり一番近いのは電話だと思うんだが、電話、電話、電話……、電話に何か重大なヒントがありそうなんだが、あと一歩が届いてない、喉元まで出かかっている感じだ。
探れ、記憶を探れ、俺の記憶の中に電話に関するどんな些細なモノでもいいんだ、何かないか?
「だあああー!」
ダメだ、何にも思い浮かばねぇ。こうなったらもう、死のう。人間死ぬ間際に走馬灯が起こるだろう、その走馬灯はその記憶の中に生き残れる手段を必死に探してるんだよな。もうこんなこと当たり前のことなんだが、それに頼るしかねぇ。
んーどうやって死のう。一番恐怖を煽れる死に方の方がいいだろうな、となると、爆死は論外として、溺死! は無理か、んー首吊りも割と呆気なかった気がするしな、
「あっ!」
飛び降り! あれは怖いんじゃないか? 前回はどうにか死ぬ為に工夫していたから死の恐怖云々だったけど、今回はしっかり対策して臨もう。今では使える手札も沢山あるしな。
んー、とは言ってもどうしようか、今となっては物理攻撃無効になっちゃってるからな、それはそれで面倒臭いな。毒も無理だろ、炎も無理か。あ、そうだ、空中から飛び降りるんだろ、ということは空気抵抗はある筈だよな。それでどうにかダメージ食らえないか?
落下ダメージプラス、空気抵抗でどうにかいけるか? ただ、その為には宇宙空間手前くらいまで行く手段が必要になってくるよな。
んー、ハーゲンじゃ無理だろうしな、ん? ハーゲン? そうだ、ハーゲンが宇宙にまで行けるようにすればいいじゃん。どうにか、ハーゲンを改造して、宇宙に飛んで、そのまま飛び降りて死ぬ。その過程で、引っかかる何かを探す。よし、これなら行けそうだな。
では、ハーゲンを強化しないといけないな、どう強化するのがいいのだろう。現実のスペースシャトルでは何が使われてるのか知らないしな、ここの世界でもっとも優れた金属とか使ったらいけないか? それとも宇宙的なモンスターの素材を使って進化させるとかか?
よし、今からすることは、とても強くて優れた金属探しと、宇宙と関連のありそうな、もしくは宇宙空間にいけそうなくらい強そうな何かをもったモンスター探しだな。
念話を取得するのは、少し先になってしまいそうだが、頑張るか、ハーゲンが日頃どんなこと考えているのか気になるしな、俺の不満とか言ってたら悲しいぞ?
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