第125話 魂


「魂を保有しています。素材として、使用しますか?」


 え、魂って進化の素材に出来るのかよ、ってかそもそも俺、魂を保有してたんだな。今まで呪縛でモンスター達を倒してきたからか、なるほど、縛るって入ってるしな、俺が引き留めてたってことか。


 んー、使うかどうか迷うな、使ってどんな姿でどんな能力になるかわかんないからな、でも、素材と言ってもこれくらいしか無いんだよな。よし、まずは一体お試しでやってみるか。


「【強制進化】」


 一つ、俺の元からフワフワとした恐らく魂と思われるモノが一体のスケルトンに飛んで行って、吸収された。


「あれ?」


 おかしい、見た目が全く変わっていない、どういうことだ? 魂があれば二つ首になるかもとか期待してた自分がいたりしただけに少し残念だな。


「従魔:ウッディスケルトンソードマンが強化されました」


 ん? 進化じゃなくて、強化、なのか? つまり、そういうことか、素材を使えば自分の望む方向に進化させられるが、魂を使えば、姿は変えずにそのまま強化できるって訳か。


 え、ということは、俺のハーゲンも姿を変えずに進化出来たってことなのか? うわー、まじかよ、やってしまったな。ここで、何でもかんでもすぐにやってしまうことの弊害が起きたか、あー地味にショックだなこれは。


 まあ、過ぎたことはしょうがない。取り敢えずハーゲンとスカルとボーンには魂を与えておこう。あ、あと元々素材無しの強制進化をするつもりだったんだ、危ない危ない、一応やっておこう。


 う、一人ずつやるの大変だな、なんだかんだ十体って俺からするとかなり大人数だからな、んーどうしようか、纏めてしたいな、纏めて出来ないのか? 出来たらとても楽なんだけど……


「【強制進化】で魂は使いませんっと」


 そして、十体全てに対して強制進化をかけると、


「従魔:ウッディスケルトンソードマンがウッディスケルトンソードマンデケムに進化しました」


 予想していなかったアナウンスと共に、そこにいたのは、体から合計十本もの腕が生えた、ただの化け物だった。


 え、何があった? なんでそんな恐ろしい体になってんの? しかも一つになるなら分かるけど何故腕が十本しかないんだ? 二十本じゃないのか?


 ということは、あの腕一本、一本がスケルトンソードマンだってことか? えー、やば、なんか怖いな、顔も厳つくなってるし、デカイし、少しおっかない。これって分解というか、一体一体に戻ったりしないのか? ま、まあ別にコイツでもいいんだが折角、数というものをゲットでき……


 ガシャガシャガシャ


「あ、うん、できるのね。凄い、凄い。うん、ありがとう」


 そうか、そうなってしまったのか。まあ俺がサボったからなんだろうが、合体させるならさせるでもうちょっと一人一人を強くさせてからにしたかったな。少し勿体なかっただろうか、まあ、もういい。ちょっと色々予想外のことが続いて、思考が逆に冷静というか、少し外れている気がする。


 よし、これで強化は終了だな。うーん今からボス戦はやる気起きないな、さっきのあいつ出したら絶対に勝てるだろ、って思ってしまうんだよな。そのくらい迫力あったし、強そうだった。んーなんか、今から別のことして、新しいスキルか何か試したいものが出来たらここのボスで試すか。


 んー、そうだな、今やりたいことと言えば、必要は無くなったが、念話のようなものをゲットして従魔と会話してみたいな。後は秘境を探すか、元々秘境探してた筈なのに、おかしいよな。これはどういう状況だ? 後は、依頼をこなしたりか、別にやりたいわけではないが、何か別のことをするとなったら一つの手ではあるな。


 装備は別に新調しなくてもいいだろうから、んー何をしようか。そうだな、んーこういう時は空の旅でもするか、風に当たると、気持ちいいし、いい考えが浮かぶような気もするしな。


「ハーゲン!!」

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