第124話 死の国
兵長か……そこまで強力というわけではないが、俺が唯一強化されていなかった、HPとMPが強化されるようになった。ん? でも待てよ、俺が死ななかったのは、HPが一撃で吹き飛ぶから、それを1で踏ん張って、自動回復っていう流れだったよな。
ということは、HP強化はそんなに嬉しくはないな。MPは普通に魔法使ったりするから回復待たずに撃てるのはかなり便利になる。そうか、だから兵を出すタイミングも重要になってくる、という訳か。まあ、いっか、兵もそんなに増やすつもりはないし、戦闘に参加させるつもりも今のところはない。
そうだな、それこそ、ほんとに悪魔との大戦争でも起きやしない限りは出番はないだろう。たまに楽をしたくなったら使うかもしれないが、滅多な理由では使わないのではないか? まあ、いいか、よし、では先に進もう。
ここは、なんというか不気味な空間だな、太陽の光も無く、それなのに、微妙に薄明るい。寒気がすると思ったら、なんか生温い感じもする、変な場所だな。こういう環境がアンデットにとっては居心地がいいのだろうな。スカルとボーンの反応も全然普段と違ったしな。
あと、道中で出会ったスケルトンは俺が普通に処理している。仲間にさせたくないというわけではないが、あまりスケルトンばかりいてもしょうがないと感じてしまう。あと、なんかゴタゴタがあると面倒くさいよな、時間取られるし。ゲームとかでもイベントシーンがあると、スキップしてしまいたくなる性分だった。
あ、そうだ、兵を今回十体ほど獲得したことによって、スカル、ボーンの二人と会話をする必要が感じられた。多分スケルトン兵はこの二人に任せるだろうから、より具体的な指示や戦法を伝えるときには口で説明したい。俺の考えが直接伝わる念話のようなものでもあればいいが、最悪、言語、みたいにスケルトン語が話せればいい。
と言ってもどうやって発声するのかわからないし、出来れば念話がいいけどな。俺、カタカタカタとかあんまり言いたくないぜ。よし、先に進もう。
やはりモンスターはアンデッド系しかいないな、そういう奴らには死霊魔術の呪縛が使える。今までそういう敵に会ったことなかったから使っていなかったが、アンデッドにはやはり効果覿面だな。根源となる魂に直接攻撃する為か、一発で死ぬ、それがあまりにもサクサクいって気持ちよかったのだろうか。
少し殺しすぎてしまったようだ。見つけた側から全員殺してしまい、気づけば、少々寂しい死の国になってしまった。まあ、これくらいがちょうどいいかもしれないが。レベルも少し上がったようだ。
ここってボスなんてものもいるのか? もしいたら、こんなに倒してしまったからただじゃ済まされないだろうな。もし怒ってたら返り討ちにしないといけなくなるが、まあ、許して欲しい。俺自身もこんなにハマるとは思わなかったんだ、思いの外楽しかったのが悪いんだ。
程なく歩いていると、そこに、大きな城が現れた。この独特な雰囲気の死の国に対して絶妙にマッチしていると言える城である。今すぐにでも壊れてしまいそうな、脆さと荘厳で立派といういかにも矛盾してそうな要素が見事に両立している。他にも恐怖や不気味さと同時にどこか綺麗さを覚える、そんな建物だ。
ここの主はさぞ、人間臭いのだろう、俺はそう感じた。
だが、人間臭いとなると、これまた厄介だな。言語を扱える可能性もあるし、複雑な戦術を使ってくるかもしれない、部下を器用に扱って、翻弄してくるかもしれない、うん、今回は侮れないな。今までの敵と同じように考えていたら痛い目に遭いそうだ。
んー、部下がいること、そして恐らく練度の高い連携をされるであろうことを考えると、俺も自分の兵を育てた方がいいのか? 練度、連携の面では確実に劣っているから、この力を少しでも上げた方がいいのだろうか。
とはいっても、素材がないからな、どうしたもんかな。取り敢えず、素材無しで一段階だけでも進化させておくか。そう思い、強制進化を行おうとすると、
「魂を保有しています。素材として、使用しますか?」
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