第123話 兵長


 俺はウッディスケルトンジェネラルである、スカルとボーンを呼び出した。すると、二人とも一斉にカタカタカタと、震え始めた。


 最初は体のどこかが悪いのかとも思ったのだが、二人の行動や、伝わってくる雰囲気からすると、単純に居心地が良くてテンションが上がってる、ということだろう。ここは死者の国だからな、もしかしたら、二人の故郷かもしれないな。召喚というものがどういう風に起こるかは知らないが、この世界のどこかから召喚するというものならば、ここも一つの候補地だったのかもしれない。


 まあ、それはそうと、なんの気なしにスケルトンがいたからスケルトンを出したという、ただそれだけだったのだが、案外二人? とも喜んでいるようで良かった。まあ、普通に考えて、人間が住んでいる所にアンデットは住みづらいよな。そんなに気に入ったのなら定期的にここに行こうかな?


 俺が二人が嬉しそうにしてるのを眺めていると、何やら、二人の周りにスケルトン達が集まって来た。もしもの時はいつでも出動出来るように心構えていたんだが、そうではないらしい。


 これもよくよく考えればそうだよな、同種、それも明らかに格上のスケルトンに攻撃なんてしようとも思わないよな、割と二人とも強そうになってるし、普通のスケルトン達でもレベル70はあるんだが、それよりも確実に強いだろう。


 ということは、かなり神々しく見えてたりするのか? あの二人、だって俺で例えるのならば天皇に会うような感じだろうか、同じ系譜なのは確かだが、何歩も上にいる存在と出会うようなら感覚か。いやー、あの二人も良い思いしてるだろうなー。良いことだ。それに、カタカタと会話しているようにすら見える。果たしてどんなことを話しているんだろうか。


 そうしていると、二人に集まっている一体のスケルトンが俺の所にやってきた。


「スケルトンが仲間になりたいようです。配下にしますか?」


 おっと、待てよ、これはどういうことだ。何故、スケルトンが何もしていない俺の仲間になりたがるんだ? 人間は敵じゃないのか? これは恐らく、というか間違いなく、あいつらのせいだな、あいつらが何か吹き込んだか、単純に憧れられたかのどっちかだな。


 まあ、別にテイムくらいならしてもいいよな。邪魔な時は閉まっておけるし、強制進化で育成も出来る。それはそれで楽しそうだよな、これからいろんなモンスターをテイムして、自分なりの軍団を作る。うん、それはそれで面白そうだな、別ゲーになるけどさ。


 よし、このスケルトンは初テイムだな、自ら来てくれたなんて嬉しいよ、これからよろしくな。


「スケルトンのテイムに成功しました、名前をつけますか?」


 んー名前かー、骨関連でいくと、リブステーキのリブしか思い浮かばねーな。まあ、これでいいか、リブで。


「スケルトンの兵長をテイムしました。スケルトンの兵が自動的にテイムされます」


 え? 兵長? 兵? いや、ちょっ、え? どゆこと? つまり、リブをテイムしたことでその部下も付いてきたってことか? おいおいまじかよー、そんなにスケルトンいらねーだろ。確かに色んなモンスターテイムしたいとは思ったけど、スケルトンばっかじゃねーかよ。そうじゃなくて、多種多様な人種、じゃないか、モン種? を揃えていこうと思っていたのに……


 まあ、しょうがない、乗りかかった船みたいなもんだろ、俺が全員纏めて見てやるよ。その代わり、俺の好きにさせてもらうからな。


 スケルトン達は嬉しそうにカタカタと骨を鳴らしている。あいつら見てそんなに入りたくなったのかよ、それで兵長に行かせたという訳か。まあ、俺の所に入りたいって言われるのは嬉しいしな、無下にできないぜ。


 取り敢えず、俺からの祝いとして、全員をウッディスケルトンにしておいた。まあ、俺の味方になるなら少しでも強い方が良いだろうからな。


 そう思って何気なく強制進化させたら、もの凄い、音と速さでカタカタカタッて鳴らした挙句、中には小躍りしてるやつまでいた。そう思うと意外とこいつら人間くせぇな。


ーーー称号《兵長》を獲得しました。


《兵長》‥部下が十人以上できる。戦闘に参加している兵の数に応じて、HP、MPが微上昇する。

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