第120話 統轄体制


 俺はスキルを発動しまくって、巨大蜘蛛を倒そうとしたんだが、何故か倒すことが出来なかった。そこで俺は龍化をして、さらにその状態で思念の頭突きを発動した。バフスキルに加え、龍化によるステータスアップで、巨大蜘蛛はひとたまりもなかったようだ。俺は俺でほぼ暴走状態だったんだが、倒せて良かったな。


 うわー、それにしても、なんか禍々しいもん手に入れてしまったな。蜘蛛の王かよ、んー蜘蛛は好きでもきらいでもないが、流石に巨大蜘蛛が目の前で鋏をカチカチするのは気持ち悪いな。


 まあ、いいや。そう軽い気持ちで済まして、後ろを振り向くと、


「うわっ! びっくりしたー!」


 そこには無数の蜘蛛が整列していたのである。


 いや、確かに操れるとは書いてあるけど、これはなんかそれ以前の問題じゃないか? もう、軍隊じゃないかよ。それに俺が少し動いただけでも俺が中心になるよう、自動調節される、シンプルに言おう、怖い。


 俺はこんな大量の蜘蛛と一緒にプレイする気はさらさらないんだが。でも王になったからには仕方のないことなのか? 俺が朽ち果てるまで、もしくは王が変わるまでここにい続けなければならないのか?


 いや、それは嫌だな、なんとしてでも避けよう。どうにか、大量の蜘蛛を自分で操らずに済む方法かー……よし、


「【死霊魔術】、蘇生、【服従】!


 俺は先程倒した、巨大蜘蛛を蘇生させて、僕にした。


 全ての蜘蛛っていうくらいなら、コイツも操れるだろ、そして、コイツにこの面倒臭い蜘蛛達は押しつければいいんだよ。簡単な話だ、元々の関係性に戻しただけだな。俺の命令なら無視することも出来ないだろう、上出来だな。


 それに、もしピンチな時はコイツを呼び出すことも出来るようになったわけだ。ただただ大きいだけっていうのもかなり便利、というか武器になるだろう。陸路の悪い道を走破してくれそうだし、盾にもなる、頼もしい限りだ。ただ、先代から俺が魔眼を継承してしまったから、それをコイツが使えないのが、一つ残念なところだな。


 蜘蛛之王のもう一つの効果で俺は先代から魔眼を受け取った。それによって様々なことが分かった。


 まずは、俺が動けなかった理由だな。俺は先代の麻痺の魔眼の効果によって動くことができなかったのだ。その魔眼の効果を維持する為に、巨大蜘蛛は動かずに、ずっと俺を見つめていたのだ。魔眼の詳細は、


【麻痺の魔眼】‥任意の相手を見つめた時間に応じて、相手の行動を阻害する。またMPを追加で消費することによって、効果を強めることが出来る。


 うん、強いな。これは使いまくるのではなく、ここぞというタイミングで使うのが良いだろうな。あまり他人に知られると警戒されて効果が弱まるし、対策もされるかもしれない。


 使う時は俺が最後にされたように、非常に緊急な場合にのみ、セーフティネット的な役割を果たしてもらおう。相手にも勘違いと受け取られる程の微妙なズレを生み出し、それで発生した一瞬の隙で窮地を脱する。こんな感じになるだろう。まあ、なるべく使う場面が起きないようにはしたいがな。


 よし、漸く蜘蛛関連は終わったかな、思えば秘境を求めて、綺麗なお花畑に到着したのが始まりだったか……いつの間にかこうなってしまったな、寝てる間に。


 それにしても、麻痺の魔眼っていうくらいだから、他の魔眼もあるんだろうな、魔眼ってかっこいいし、こういうのって俺は集めたくなるんだよな。まあ、積極的には集めようとはしないが、取れる機会が有ればドンドン狙っていこう。


 よし、街の西側はもう探索終了だな。最初は少し期待したのだが、気づけば森の中にいたき、最初見た光景は幻かなんかで、あそこで寛いだら眠らせて強制連行した、と言ったところだろうな。まあ、単純に綺麗だったからな別にいいんだよ。



 後日、ギルドの受付に教えてもらったのだが、街の西側の森は住民らからは、「幻惑の森」と呼ばれているそうだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る