第116話 街の西側


 お? なんか急に沢山きたな。まずは斬られまくってとうとう斬撃無効をゲットしてしまったのか。これはしょうがないな、盗賊達のせいだ。


 ってかこれはまだ良い、というか全然いいんだが、物理攻撃無効ってなんだよ。めちゃくちゃ強そうだし、めちゃくちゃ統合されたな。これで少しはスキル欄が見やすくなったか?最近はもうスキルかなり沢山になってきてたからな。統合してくれる分にはかなりありがたい、


 ってかまだこいつら斬ってたのか……もう、本当尊敬するレベルだよ、凄すぎる。ここまでされたんだから最後は俺がしっかり締めないとな。そうすれば向こうも嬉しいだろう。


「俺にその程度の攻撃が通用するとでも思ったか? 身の程を知れ。……ファイヤエクスプロージョン」


 流石にカッコつけすぎたか? でもこうでもしないと相手に失礼だからな。言わなくてもよかったかもだが、念の為に小声で詠唱しておいた。並列思考使っても三回分かかったからな、なるべく時差が出ないように頑張ったけど、どうだったかな、気持ち良く死ねたか?


 あ、それにしても爆散させてしまったから装備もアイテムも何も残ってないじゃんかよ。辛うじて俺が斬られていた剣は残っているけど、俺の剣よりかはランクが落ちるからな。んーでも流石にそのままにしておくのはもったいないか? どうにか使えないか?


 あ、そうだ、あいつらに持たせてみよう。ついでに拾いまくった木材もつかって、


「【強制進化】!」


「従魔:スケルトンナイト、個体名:スカル、ボーンがウッディスケルトンジェネラルに進化しました」


 おぉー! なんか強そうだな。まず剣を素材に使ったことによって、二刀流とかになるのかと思えば、そういうことはなかったらしい。あくまで、素材から成分のようなものだけを抽出するのだろう。


 そして、木材だな。この世界で一番硬い木材と呼ばれているだけあって、かなり硬そうな表面になっている。金属よりは劣るかもしれないが、殆ど遜色はなさそうだ。見た目は少し焦げ茶色味がかって、味わいが出ており、骨なんかよりもだいぶ硬そうで、安定感もある。


 更に、ナイトからジェネラルにも進化したことで、骨格が大きくなり、剣もそこそこしっかりしている。かなり強そうな雰囲気をだしてるし、これは一気に実用レベルまで上がったかもしれないな。まだ悪魔には厳しいだろうが、そこら辺のモンスターならやれそうだ。


 今後良い素材があったら、こいつらに使おう。ハーゲンには、なるべく厳選した素材を与えたいよな、俺が苦戦した相手の素材はハーゲンに使うとしよう。今回の進化はかなり成功だったのではないか? これからはハーゲンを元の姿に少しでも戻るように全力を尽くしていきたい。



 よし、それで俺は今秘境を目指している所なのに、街を出た途端、出足を挫かれたな。もたもたしてるのもあれだから、早速いこうか。もう遠足気分も味わえたし、


「【神速】」


 どのくらいの時間、距離を走ったかはもう分からないが、遂に到着した。そこは草原だった。見渡すと、お花もかなり咲いており、お花畑と草原の中間のような印象だ。


 とても気分が和む。普通に綺麗な景色だ、気分も癒されるし、天気も良いから昼寝をしたくなってしまう。こんな場所にモンスターとか出るのだろうか、仮に出たとしてもスライムとか無害そうで可愛いらしいモンスターしかでないのではないだろうか。


 そんな事を考えるといつの間にか眠気が襲ってきた。これは抗えないものだと直感的に理解し、そのまま眠気に体を委ねることにした。こう寝落ちする時ってなんでこんなに気持ちいいんだろうな。昼寝って最高だよな……


 俺が身を覚ますと、そこにはお花畑もとい草原は広がっておらず、


「ん! んんんー! んんんー!!」


 俺は糸のような細いもので全身をきつく縛られ、その状態で、木に吊るされていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る