第114話 目的


 今回は四つもスキルを獲得できたな。なかなかいい調子だ。振動、衝撃無効はまだいいのだが、即死耐性、思念の頭突きとかツッコミどころ多すぎるだろ。


 まず、即死耐性、恐らく今回の死に方が即死だったからだろうけど、即死って耐性が付けられるものなんだな。その流れでいくと、即死無効も獲得できそうだよな。即死する方法って、俺が思いつくのはギロチンだけなんだよな、でも自分に発動するのが不可能だからなー。鏡とかあれば出来るのだろうか?


 次に思念の頭突きだな、いやいやいや、どうした。このスキルはもうネタと言うことでいいのか? そもそも頭突き自体滅多に使わないスキルなのに、それが更に進化して実体の無いものにも効くようになるって……


 でも、一応悪魔も実体がない奴がいるらしいから、使えるのか? いやでも、頭突きとかしてる暇ないだろ、完全な隙になってしまうよな。うーん、まあ、こいつとは長い付き合いだったからな、これからも宜しく頼むぜ。字面がカッコよくなったのは良い点だしな。


 まあ、これで一旦頭突き関連は終了だな。前回いつ使ったかすら覚えていないが、それでも使えて良かったぜ。あと、倒した木は木材として回収しておいた、木が倒れまくってる光景は流石にちょっとと思ってな。木の詳細を見てみると、


・グラナディラ 品質:劣〜普通

この世界で最も硬い木とされる木材。この木材を採取するには熟練の技と、匠の業が必要となる。武器、防具に共に使用可能。


 え、この世界で最も硬い木だって。それを俺はバッタバッタ倒しまくってたのか。なんかスキルとか取得するの早いなとか思ってたんだが、こう言う理由もあったのかもしれない。それに、武器と防具、両方に使えるのなら、高く売れるかもしれないし、自分でも使えそうだ。


 今回はなかなかいい死をしたんじゃなかろうか。ステータス、スキル、そして木材、久しぶりだったが、いい滑り出しだな。ただ、品質が劣なのが玉に瑕だな、まあ、まともな伐採をしていないからしょうがない。むしろ、一つだけでも普通の品質があったことを喜ぶべきだな。


 んー、これから何をしようか、何処へ行こうか。取り敢えず、目的を整理するか。今俺がしたい事はなんだ? 一つは強くなる事だよな、理由は悪魔を倒す為だ。悪魔を倒したい理由はなんだ? 何故悪魔を倒したいんだ?


 ……それは、悪魔はNPCに害を及ぼしているから、か? 他には、強い敵を倒したい、と言う気持ちも最近はある、というか強い気がする。うん、それは実際、事実だし、別に悪い事じゃない。


 でも、それは俺の本来の目的ではないよな、ゲームを始めた理由、そして、もう本当の死を望んでいない理由。


 それは絶景だ。



 絶景かー、最近はもうずっと行けてないよな。そろそろ絶景を見る旅に出かけようかな、その旅路で強くなったり、悪魔を倒したりすればいいよな。本当になんだかんだ最近は行けてないかったからな。そう考えると、ワクワクしてきたな、早く行きたい、見つけたい!


 そうとなったらいざ出発だな、今は第三の街にいるからまずは第三の街周辺の探索、そしてそれが終了しだい、次の街へと向かう。うん、いいね、充実してるって感じがいい!


 この街の東は岩山で、悪魔の時に行ったからもういいとして、西と北だな。そうなると西か、西から行こう。


 そう思い、西の門から街を出て、それに気分が良くてウキウキしてたから、神速は使わずに雰囲気を大事に遠足気分で徒歩でゆっくりと歩いていた。遠足や旅行に行く時は行くまでが好きなタイプなんだよな、移動時間とか好きだった。


 そんな訳で珍しく、神速もハーゲンも使わずに移動していると、


「おい、止まりな!」


 突然声をかけられ、気付いたら、周りを複数人の男に囲まれていた。


「命が惜しけりゃ、無駄な抵抗は止めることだな」

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