第113話 古参
結局なんだったんだろうな、あの情報屋。俺の好きなモンスターしか聞かなかったんだけど大丈夫なのか? 逆にこっちが心配になるくらいだったぜ、でも、その割には真剣に話を聞いていたし、もう、よく分からないな。
まあ、いいや、こういうことは忘れるに限る、どうせもう会うこともないだろうしな。それより今は自身の強化優先だ。早く強くなって、悪魔達を倒したいからな。
強くなるということは具体的に、ステータスを上げること、強いスキルを手に入れること、強い装備を整えること、恐らくこの三つになってくるだろうと考えている。
俺がいつも使っている手段は、死にまくることでステータスを上げ、その副作用でスキルを獲得している。スキル、装備はお金と素材が必要になってくる、逆にいうとそれさえあれば大丈夫なのだ。
だから、俺が今すぐすべきことは、ただ一つ、死ぬことだな。よし、死のう。
今回は死ぬ方法を事前に考えて来ている。もう、どうやって死ねばいいか迷ってしまうからな。最近ふとステータス画面を見たときに、使っていないスキルを使おうと思っている。いつゲットしたのかも曖昧な程だが、今回は使えるはずだ。今回、主役となるスキルは、
頭突きだ。
これはいつだったか、割と序盤の方に手に入れた古参スキルだ。今回はこれを使っていく。方法は至ってシンプル、スキルを発動して、そこら辺の木に向かって突進する!
ドシン!
「いってー!!」
頭突きは打撃無効にカウントされていないのか、普通に痛みを感じる。脳が揺れている、体が思うように動かない、ステータスを見ると、状態異常:気絶となっている。そりゃ頭に大きな衝撃を受けたらそうなるだろうな。
でも、まだ死んではいない。死なないと意味がない、だからこそもう一度。
ズドン!メキッ、
「はっ!」
気付いたら死に戻っていた、成功だ。今回の方法て上手くいくかどうかは正直賭けだったのだが、成功して良かった。今回参考にしたのは現実でも発生する、脳震盪だ。普通であればさほど命に別状はないらしいのだが、短い間に再び脳震盪を起こしてしまうと、命の危険があるらしい。たまたまニュースでやっていたのを見たのだ。
今までは人の死に対して、せいぜい怖いという感情しか浮かばなかったのだが、こういう事をしていると、やはり敏感になってしまうな。良いことか悪いことか判断はしづらい部分ではあるが、明らかに死に対しての価値観というか、考え方は変わってきた。
今までは死とは経験するものではなかったのに、今ではどのようにすれば人が死ぬかを理解して行動している。自分でも恐ろしいと感じる時もある。だが、まあゲームだから、と言って割り切れているからな。俺がまだ小さい子供だったりしたらヤバいのだろうが、もう大人だし、線引きはできる。実際の話をすると、ゲームを始めた動機からして一番俺が不純なんだろうけど。
それを考えると、俺もだいぶ変わってきたな。このゲームによって人生が変わったのか……そう思うと変な気もするが、こうして楽しめていることを思うとこれで良かったのかもしれないな。
そんなことを思いながらずっと頭を打ちつけていると、気づけば何十本もの木を倒していた。今度からはコンクリとかでしたいな、流石にないだろうけど。
ーーースキル【衝撃無効】
スキル【振動無効】
スキル【即死耐性】
スキル【思念の頭突き】を獲得しました。
【衝撃無効】‥衝撃によるダメージ、効果を無効にする。
【振動無効】‥振動によるダメージ、効果を無効にする。
【即死耐性】‥即死攻撃を受けた時、一定確率で抵抗する。
【思念の頭突き】‥思念を頭に集中させて頭突きをする。実体の無い敵にも効く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます