第108話 報告と心臓


「レベルアップしました」


 ふぅ、流石にこの戦いでレベルアップしてくれなきゃ困るよな。これで今、やっと90レベに到達だな。レベルキャップがどこまでかは分からないが、上げれるだけ上げときたいよな。


 よし、心臓も確保したし、残兵も居なさそうだし、帰りますか!


「ハーゲン!」


 今回はなかなか精神をすり減らす戦いだったな。やはり悪魔は一筋縄では行かせてくれないな。例え俺がどんなに強くなったとしても、相手も更に強くなってくるだろうから、毎回精神すり減らさないといけないのか、しんどいな。



 到着した。もう、三度目ともなればお馴染みだな。ツッコミ所が多すぎる気もするが、慣れてしまえば、気にも留まらない。そういうもんだろうな。それに、今回は落下でもしくじらないぞ。


 まずは、落とされるのではなく、床が開くタイミングでジャンプすることで自ら落ちる。受動ではなく、能動になることが肝心だ、意識の違いというやつだな。その次にギリギリまで落ちる、平常心を保つのだ、ここでびびってしまうのは情けない。最後にギリギリを見計らって、【天k


 ゲボッ


 ふぅ、惜しかったな。これはメンタルとタイミング感覚を鍛えるトレーニングだ。毎日やる事で確実に成果が出る、皆もやるように。


「お主何をしているのじゃ、そんなアホ面晒してないで、はようこちらへ来るのじゃ。そして報告するのじゃ」


 うん、この爺さん、俺に突っかかってきているが、これは俺が持ち帰って来たであろう、戦果に興奮しているのだ。そして、一刻でも早くそれを見せて欲しいのだろう。


 ここは一つ意趣返しをしてもいいが、流石に俺もそこまでガキではない。さらりと受け流すぞ。俺は大人だからな。


「報告するぞ、現場に居た悪魔は騎士爵三体だ。ただし、俺が以前戦った準男爵と同程度の強さを確認。そして、二体を倒した後に、準男爵以上と思われる悪魔が登場。生き残りの騎士爵を変異させた。騎士爵、未知の悪魔も殲滅完了しており、心臓も確保」


 ちょっと気取って軍隊っぽく報告してみた。ゲームする上でロールプレイは非常に大事だと思う。まあ、自分が楽しければなんでもいいんだけどな。


「ほぅ、準男爵と同程度の騎士爵三体に、途中から準男爵以上の悪魔が乱入。そして、全員倒したと。因みに、その乱入して来た悪魔はどのように倒したのじゃ?」


「一刀の元に斬り伏せました」


「ふぉっ、ふぉっ、ふぉー。お主も中々規格外よのぉ。以前は苦戦していたはずであろう、準男爵以上を刀一筋とは、儂も良い剣を手に入れたものじゃのう」


 これは褒められているのか? でも俺を道具に例えるのは少しなぁ。でもあいつは脳だろう? 見た目からすると、カッコいい剣と、しわくちゃな脳なら剣の方がいいよな。うん、ならいっか。


「お主が疑問に思っていることがあるじゃろう。それを解決してやるとするかの。

 まず、準男爵と同程度の強さの騎士爵、とお主は言ったかの。それは、悪魔には種類があるのじゃ、近接タイプ、遠距離タイプ、使役タイプ、そして特殊タイプの四つに分かれるの。説明はせんでも分かるかの? 文字通りのタイプとそれ以外のタイプじゃ。

 この分類に当てはめると、お主が最初に戦った悪魔と今回乱入して来た悪魔が使役タイプだ。一対一なら比較的倒しやすい部類ではあるな。そして、元々現場に居た騎士爵が接近タイプだったのじゃろう。だから、接近戦というカテゴリで見ると、同程度の強さ、とお主が受け取ったのだろう」


 なるほど、そういう理由だったのか。それも込みで油断するな、という意味だったのだろう、いい教訓になったな。って文字通りのタイプとそれ以外のタイプって説明雑すぎだろ、まあ、一応理解は出来るけども。


「もう一つ、疑問が残っておるじゃろう、そう、悪魔の心臓じゃ。お主にはそれらを回収してきてもらったのじゃが、それには二つの理由があるのじゃ。

 一つ目は、悪魔のエネルギーを採取する為じゃ。悪魔は元々精神体であるから、エネルギーの塊みたいなものなのじゃ。だからそれを回収する事ができれば、人類の進歩に発展できるのじゃ。

 そしてもう一つが、悪魔のスキルじゃ。倒した悪魔が持っていたスキルを心臓を解析することで、獲得することが出来るのじゃ。これは儂が発明したんじゃよ? 凄いじゃろ」


 え、普通に凄くね? それ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る