第103話 気と闘気


「では、今から気点穴を開ける」


 はい?


「気を使う為には、ただ生命力を高めるだけではダメなのだ。それを直接的な力に変える為には普段閉じている気点穴という穴を開けなければならない。

 気点穴を開けるには、体の至る所にある、それらに刺激を加えなければなんのじゃ。では、始める」


 え、え? 今から? いやいやいや、ちょっと待って、心と体の準備が出来てないんですけど、刺激を加えるって絶対痛いやつでしょ。まじで、ツボマッサージとか苦手なのに、


「あ、痛っ……くない」


 あ、刺突無効か。あー良かったー。死ぬかと思ったわー。危ない、危ない。お前はもう死んでいる、って言われるかと思ったわ。それよりも何か変わったか? あまり変化が無いような気がするんだが。穴が空いたら何か変わるのか?


「(ん? おかしい、これはかなり痛いものだぞ。元々閉じていた穴を開けることで、生命力がドバドバと溢れて、疲労感も凄い筈だ。であるのに何故だ、何故こいつは平然としている? 最初の一撃は反応していたのだが、まさかこの私が外したとでもいうのか? いや、それはない。何十年も修行し、何人もの気点穴を開けてきた私がしくじるはずがない。もし、仮に外していたとしても、数個なはずだ。その為、結局は痛いし、疲れる筈だ。

 異常なほどの生命力、気点穴を開けてもびくともしないほどの、胆力いや、それとも痛覚が麻痺しているのか? だが、それでも疲れない理由にはならぬか、こいつは一体何者なんだ!?)

 これで気点穴が空いた筈だ。どうだ、気を感じるだろう、体中から次々と溢れてくる力を。それを制御するのだ。まずは、体から漏れぬよう、そして、それが出来たら次は動かすのだ。その次に濃淡をつけて、完成じゃ。ここまでくるのにはかなりの年月の修行が必要となる。心して修行するのじゃ。

 完全に扱えるようになると、圧倒的に身体能力が飛躍する。そして、気を更に極めた先には闘気、というものがある。そこまで行くにはもう、果てしない道のりがいるんじゃが、今は一歩ずつ、しっかりと歩むのじゃ。決して、高望みをして無茶をしてはいかん。身の程を知り、確実に歩を進めるのじゃ。お前は可能性がある。しっかりと精進するのじゃ」


 ありがたいお言葉ありがとうございます。でも、俺結構出来てるんだよなー。操作も、結構できるし、濃淡も感覚的に出来ちゃったんだよな。それに闘気は少し裏技を使ってしまって使えるようになったし、


 あ、ってか、闘気って気の上位互換だったのか? あーなら目的は達成していたのか。まじかー、でも、まあしっかりと正規のルートで気を使えるようになったし、これはこれでまあ、良かったな。


 ん? ってことはちょっと待てよ? 俺はこのおかげで気が使えるようになった。そして、変換を使えば闘気を使える。ん? 気を闘気に変えるには、どうやってすればいいんだ? 爺さんが言うには気を極めたら、闘気が使えるって言ってたからなー。まあ、使いまくるしかないか。


ーーースキル【気力操作】を獲得しました。


【気力操作】‥気を操作しやすくなる。気による効果微上昇。


 よし、これで気は漸くゲットできたな。闘気については追々だな。気を使っての実践をして、検証も色々しないと行けないな。魔力関連もあるし、すべきことは沢山ある。


 だが、これでとうとうあの爺さんの所に行ける。悪魔のクエストもボチボチ進めていかないと、かなり長編になりそうだからな。少しずつでも進めていきたい。それに単純に興味もあるからな、悪魔に。


 って、ここからとても近いな。教会を中心に二軒開けて、左右と奥全て行ったな。ここまでくると、教会の隣には何があるのか気になってくるな。まあ、行く機会はないと思うが。


 よし、着いたぞ、古民家風、研究室。


『悪魔討伐を確認、ゲート解除』


「あっ、」


 って流石に今回はドジな真似はしない。分かってたら、恐るるに足りないぜ。


「【天駆】」

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