第96話 もう一人の護衛


 私はハク、盾使いをしている。今はちょうど依頼を探している。装備を新調する為にお金がいる、だから、ここ最近はずっと冒険者ギルドの依頼をこなしている。


 依頼をどんどんとこなしていくと、漸くお金が溜まって、装備を新しくすることが出来た。これで、かなりステータスも上がって、スキルも増えて、装備も新しく出来た。でも、まだあの人に勝てるか分からない。強くなったのはいいけど、勝てるの? どれくらい強くなったら勝てるの?


 そう考えると、全く安心出来ず、まだまだ頑張らなければ、という気持ちになる。そうして、今日も依頼を受けようとした時、受付の人から偉い人が呼んでいる、という話を聞いた。詳しくは分からないらしいけど、話があるらしい、なんだろう。偉い人の話はそんなに好きじゃない。校長先生の話はいつも長かったし、偉い人の話っていうと基本説教のイメージ。


 今はゲーム、そう考えても、少し行きたくないという気持ちが働くのだけど、流石に言うことは聞く。無視するほどの胆力は持ち合わせていない。


 案内された部屋に入ると、そこには初老の、しかし、それでいて、がっしりと鍛えられているであろう体を持った人がいた。何より、風格が漂っており、威厳がある。


 相対しただけで、強者と分からされる、そんな人だ。私が相手をそう観察していると、


「まず、沢山の依頼をこなしてくれて有難う、非常に助かっている。そこで、頼みがある。其方は盾使いだそうだな? そこで、一つの護衛依頼を頼みたいのだ。護衛対象は公爵令嬢で令嬢が別荘に行くまでの道中を護衛してもらいたい。

 どうだ、受けて貰えるか? 勿論、報酬は弾む。それにしっかりと依頼を達成できたらランクを上げることもできるだろう。どうだろうか」


 私がこの話を聞いた時点で断るという選択肢は無かった。報酬も充分に出て、ランクアップにも繋がる、受けない理由はない。恐らく、これは依頼をこなしまくった人が受けられる、特別は依頼なのだろう。このチャンスを逃す訳がない。


「……受けます」


「おぉ! そうかそうか、それは有難い。依頼についてだが、もう一人、護衛に加わる人がいる。その人と二人での護衛となるから、仲良くすると良い。では、話はこれで終わりだ。是非頑張ってくれ」


「……ありがとうございます」


 その時は、もう一人の護衛のことなんて、気にも留めてなかった。私と同じように、依頼を沢山こなして、ランクアップできる人がいるんだろう、その程度の認識だった。


 私の現在のステータスを確認すると、


▪︎ハク Lv.90

職業:ガーディアン

HP 200/200

MP 50/50

STR:50

INT:1

AGI:5

DEX:20

VIT:350

LUK:5


スキル:【大盾術】【シールドバッシュ】【パリィ】【反射】【超反応】【自動防御】【不動の構え】【筋力増強】【ハードカウンター】【気絶強化】【短剣術】【身代わり】【女神の盾】【刺突耐性】

称号:《守護者》《大盾の使い手》《鉄壁》《光の加護》


SP:0


▪︎装備

左:紫水晶の大盾

右:黒鹿の短剣

頭:グレートマンティスヘルム

胴:グレートマンティスメイル

腕:グレートマンティスアーム

腰:グレートマンティスコイル

足:グレートマンティスグリーヴ



 イベントの時よりも10レベル以上、上がった、装備も結構良くなった。かなりの進歩だと思う。まだ足りないのだろう。ランクアップしたらもっと厳しいい依頼も受けよう。そう思って依頼場所である、公爵領地に向かった。


 そして、そこにいたのは……


「……っ!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る