第91話 爺さん


 ふぅ、とりあえず、死ぬのはお腹いっぱいだな。もう、一旦止めよう。今からは、悪魔関連のクエストでも始めようか。


 エクストラクエスト『悪魔への挑戦』では、まず初めに第三の街にいるお爺さんに話しかけなければいけない、らしい。どこにいるんだろうか、んー、とりあえずギルドに行って話でも聞いてみるか。



 暗殺ギルドに着くと、やはりここにも違いはあった。気持ち建物が立派な感じがする。中に入ってみると、受付の人も違う印象を受ける。一応、マッチョの男なんだが、髪がしっかりセットされており、きっちりした、清潔感のある、受付だ。


 前までのギルドはどちらかと傭兵ギルドといった方がしっくりくるほどだったが、ここでは確かに暗殺ギルドっぽい。殺しという仕事に誇りを持って向き合っている、そんな気がする。


 早速聞いてみよう。


「すみません、悪魔についての情報が欲しいんですが……」


「ん、悪魔? って、君はもしかして始まりの街のギルドに居て、色々噂されていた人かい? よくきたね、歓迎するよ! それで、悪魔の情報が欲しいのかい?

 ふむ、君ならいいだろう。広場の近くに大きな教会の建物があるだろう? そこの二軒隣に悪魔の噂、伝承に詳しいお爺さんがいるんだ。その人に話を聞いてみるといいよ。

 あ、ついでに色々と依頼を受けてくれると嬉しいかな。かなり溜まっているんだよねー。あははー」


「あ、はい、分かりました。いい感じのものを選んで受けたいと思います」


 なんか、気さくでいい感じの人だった。今までの受付よりも少し若くて、話しやすく、面倒見の良い、先輩って感じだったな。


 依頼を少し受けておくか、受けますと言った手前、何も受けずにここを出るのも少しなぁ。何か適当なものを見繕おう。


 んー、やはり街が変わっているからか、難易度も少し上がっている気がするな。どうしようか、暗殺、討伐、護衛、大体この三つなんだよな。対人の暗殺は前、アジトを潰した時に散々したからもう当分いいかな。


 そうなると、討伐か護衛か。んー、なんだかんだ今まででまだした事のない、護衛をしてみようかな。やって見たいし、悪魔もそんなに緊急性があるものでもないから時間も取れる。


 よし、これにしよう。依頼内容は、公爵令嬢の護衛輸送だ。一番簡単そうなのが、これしか無いのだ。王様が別荘に行くまでの護衛とか、一番ヤバイやつで、王族首脳会議の護衛とかがある。こんなものを俺がして、万が一があった場合が怖い。だから、一番影響力が低そうな公爵にした。


 貴族の爵位について、詳しくはないが、公爵ってかなり偉かったような気がするが、まあ、王族よりかはましだろ。


 あー、依頼まではあと一日あるらしいから、先に爺さんの所にいくか。


「えーっと、教会の二軒隣の家屋っと、ここか」


 ここみたいだな。意外としっかりしてて、立派な建物だな。もっと、こじんまりしてる建物かと勝手に思ってた。よし、入るか。


「すいませーん……」


 俺がドアをそーっと、開けて中に入ると、俺の危険察知がビクン! と反応した。俺は慌てて反応に従って体を横に捻ると、ちょうど俺の肩の部分を通るように矢が飛んできた。


「ほぅ、これくらいは避けれるか。まぁ、いい。お主! ここに来たということは、儂の話が聞きたいということじゃろう。ならば、力を証明せよ。弱者に待っているものはただ死のみだ。ここで己の力を見せてみよ!」


え、えー!? そ、そういう系? こんな熱血体育系なんて想像してなかったぞ? 俺が思っていたのは、畳の狭い部屋でお爺ちゃんからお茶でも飲みながらゆっくり昔話を聞くだけと思っていたのに、思っていたのに……


この爺さんアグレッシブすぎない!?

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