第77話 悪魔


【隠蔽無効】‥隠されている物が見えるようになる。


 何か、もしくは誰かがいる場所をずっと見つめていると、スキルをゲットした。


 そして、そこに現れたのは悪魔だった。


「ひーひっひっひー。まさか見つかるとは思いませんでしたよー。まあ、私が作り上げたあの可愛い子ちゃん達をあの短時間で倒しただけはありますね。ですが、私を見つけ出してしまったことは、頂けませんねー。そのまま帰っていれば良かったものを。

 では、ここでお別れですねー。また良い人生を歩めるといいですねー。今度はあまり強くなりすぎない方が良いかもですねー。中途半端に強いと、殺されちゃいますからねー。では、」


 スキルを獲得して現れた悪魔は急に長々と喋りだした。サラマンダーが凶暴化したのもこいつのせいだったらしい。まあ、こんなとこに隠れているのは、黒幕しかないか。


 それよりも、こいつの言い方に腹が立つ。いちいち語尾を伸ばしてくるのとか、笑い方とか、顔も醜いし、一旦ぶん殴りたい。


 そんなことを思ってたら急に攻撃して来た。魔法だろうか、とてつもないエネルギーが凝縮されたものをぶっ放してきた。


 流石にこれをくらったらひとたまりも無いだろうな……俺以外ならな。


「なっ……!? なっ、何故死んでいない!? 私の一撃を受けて未だ死ななかったものなどいないというのに!!

 くそっ! 死ねっ! 死ね! 死ねーー!!」


 俺が死んでいないのを確認すると、急に激昂して、また同じのを連打して来た。まあ、流石にある程度は避けるが、殆どをくらっても俺は死なない。


 ってか、俺が一方的にくらってるだけじゃん。別にイベントとかじゃないから、普通に反撃していいよな? よし、やり返そう。死ななくても衝撃はこっちに来るし、なんか痛くないけど殴られてるみたいな感じで普通に鬱陶しい。


 という訳で、顔もキモいし、最初から本気で殺しに行きます。両手に武器を持って、


「【神速】っ!」


 まずは、あの羽を切り落とす。飛ばれたら面倒くさいしな。悪魔は勿論、反応できていない。自分の攻撃が効いていないことの方なら驚いているようだ。


 別に容赦とか、正々堂々とか一切ない。こいつは恐らく人間の敵だろうし、サラマンダーを凶暴化させたし、顔がキモいし、良いことが一つもない。あるとするならば死んだら俺の経験値になることくらいか? だから殺す。


「ひっ!! や、やめろぉ!」


 まずは、右翼。うっ、流石に硬いな。まだ適正レベルでは殆どないのだろう。正直、あの気功弾みたいな奴は俺じゃなかったら、即死の負けイベだろうしな。


 でも、折角こうやって戦えるんだから、倒すぞ。相手は最初から飛ばし過ぎたせいで、少し息切れ感がある。このままじわじわいく。


 まずは最初に斬りつけた、右翼を重点的に攻撃する。同じ部分に刃があたる様に、勿論、スキルは一通り発動している。集中、瞑想、高速思考、明鏡止水だな。更にここから並列思考を加えて、いつもの攻撃する俺と、状況を俯瞰的に見る俺を作る。そうすることで、まさかの事態にも対応しやすくする。


 意識が向いていない所まで対応できるため、不意打ちや、咄嗟の対応、などかなり使える。最初は地味だと思ったがなかなかいいな。


「よっしゃあぁ!!」


 遂に右翼を切り落とすことに成功した。次は左翼だ。勿論急所を狙ってもいいが、ステータス差がかなりあるのか、効いてる気がしない。それよりかは幾分か器官的に弱そうな部分を攻撃することで、相手を磨耗させる。


 そこから、どれくらい経っただろうか。とうとう、左翼も切り落とした。すると、悪魔の様子が変化した。


「ひっひっひー。中々やりますねぇー。ここまでやられたのは久方ぶりですねぇー。私も久しぶりに本気を出しましょう」


 ……っ!? やばい、急に雰囲気が変わった。物凄い圧を感じるし、危険察知もギンギンに反応してる。これはまずいな、いよいよ今の俺、いや、プレイヤーがするもんじゃねぇぞ。どうするか、これ以上パワーアップすることは無いとは思うが、これを倒せるのか、逃げた方がいいのか?


 俺が撤退の二文字を選択肢に入れようとしたとき、俯瞰的な方の俺が何か閃いたようだ。


「ふぅ、よし、それに賭けるか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る