第62話 突破口


 ふぅ、取り敢えず予選通過できて良かったな。でもあの盾使いには勝てなかったから決勝ではなんとしてでも勝つ。


 予選は一日四試合の計三日間で行われる。俺は一日目にあったから残り二日間は暇である。だから決勝の準備をしようと思う。せめてあの盾使いに有効的な手段は獲得しておきたい。まあ、最悪獲得できなくても、両手に剣を持って切りまくればどうにかなるとは思うんだが、それでも一応というか、対策はしておきたい。


 だが、対策と言ってもイマイチ何をすればいいのだろうか。俺のスキルはほとんど偶然によって得られたものだし、偶然じゃないのはスキル屋で買ったものくらいだな。まあ、狙ってゲットしたのもあるが、明確にアレが欲しい! と思って取ったものではない。


 そうなると、今は盾使いに有効なものを取得する、という漠然とした目的の中でどうすればいいのかが分からない。取り敢えずスキル屋に行ってみるか? いや、お金がないな。


 となると、今ある手段でどうにかするしかないな。俺の持っているスキルの中で何か使えるものはないだろうか?


 うーん、龍化は流石に目立ちすぎるだろうし、少し恥ずかしい。それにそこまでしたくはない。龍化は本当の奥の手だからな。


 他には、ギロチンカッターか。でもそれは相手が見えないといけないからな。まだ盾使いの顔すら見えていない。男か女かも不明だ。それに確実には倒せず、運任せになってしまう。


 使えそうなものと言えば、あ、死霊魔術はどうだ? 使える技はなんだっけな? 使役、召喚、蘇生、呪縛か。使えるか? まず蘇生は無理として、使役は誰をって話だし、召喚は、

召喚は……? 召喚!! これだ! そうだ、召喚すればいいのか!


 手数が足りないなら増やせばいい、俺だけじゃ無理なら増やせばいい、ってことか! なるほど、なら盾使いと当たった時は召喚を使うことにしよう。呪縛はー、うん、試すのも怖いし使わないでおこう。効果をどうやって確認すればいいかもよく分からないしな。


 そうと決まれば早速効果を確認しにいこう。適当に森にでもいくか。


 よし、着いたぞ。ではもうすぐやってみよう。


「【死霊魔術】、召喚!」


 召喚を発動すると、地面に魔法陣の様なものが現れ、そこから一体のスケルトンが召喚されてきた。見た目はただのスケルトンだ。骨しかない。召喚はスケルトンしかできないようだ。他に増えないのか? 熟練度が上がったら他のモンスターも召喚したいな。せめてゾンビとかは出してみたい。


 それにしても弱そうだな。どれくらい強いのだろうか。試しに戦わせてみよう。久しぶりにホーンラビットでも探すか。


 ……ホーンラビットが逃げていく。遠目に見つけることはあっても近くにいくと必ず逃げて行ってしまう。何故だろうと考えて考えまくって、ステータスとかも確認すると漸く答えがでた。


 称号の効果である。《帝王の討伐者》という称号で自分より低い敵が近寄らなくなっていたらしい。そりゃ逃げていくわな。


 危うく当初の目的を忘れそうになったが目的はスケルトンの強さを測ることだ。ホーンラビットが逃げていくので、スケルトンだけにいかせてみた。すると手に初めから持っていたボロボロ一歩手前の様な剣で攻撃した。おー! 意外と勝てるじゃん!


 と思ったのは最初だけだった。何故なら、スケルトンは攻撃をくらうとすぐに砕けて、消えてしまうのだ。攻撃をくらわずに倒し切る場合はいいが、反撃をくらった瞬間負けてしまう。まあ、お手軽に呼び出せる代償として、お手軽に去っていくということだろう。


 だが、すぐに死んでしまうからといって使えない訳ではない。こんなスケルトンでも役に立つ時はあるのだ。滅多にいないかもしれないが、反撃してこない相手とかな。


 そう、正に盾使いだ。これで、やっと突破口が見えてきたようだ。よし、この路線で色々検証していこう。まだまだ知らないことが多すぎるな。

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