第60話 盾使い


 よし、これであと一人で十人だな。意外と十人ってのは楽に達成できそうだな。


 ん? いつの間に一人倒したって? あ、チンピラを倒した後に弓使いがいたから倒した。最初の敵も弓使いだったし、なんならそいつの方が近接もある程度できてたからそっちの方が強かった印象だな。恐らく弓だけの強さならさっき倒した人の方が強いかもしれないが俺の印象には全く残ってない。


 なにより戦闘時間が短すぎたのだ。気付いたら勝ってたからな。近づかれた時点で向こうも負けを確信していたんだろうな。


 それより、さっきから俺の気配感知に今までよりも強い反応がある。これは中々手強い相手かもしれないな。今まではこう言ってはなんだがそんなに強くなかったからな、骨のある奴もしくは俺と互角くらいだったら楽しめそうだ。うん、少しワクワクするな。


 近づいていくにつれて反応も大きくなっていく、一体どんな人が待ち構えているのだろうか。


 反応している地点に到着するとそこにいたのは大きな盾だった。いや、盾だったはおかしいな、恐らく盾使いだ。何故、恐らくなのかというとその盾がとても大きくて人がすっぽり隠れてしまっているのだ。その為全く見えないし、盾がある、ように感じてしまったのだ。


 盾使いか、ぱっと見ではそれほど強くは無さそうなんだがな、一応警戒しておこう。スキルも一通り発動しておく。


 ……ん、いつまで経っても動く気配がない。こちらからいくまでは決して動かないつもりなのだろうか。それなら、こちらからいこう。


 盾があるといっても、その盾では防ぎきれないスピードで撹乱しまくれば攻撃は与えられるはずだ。


 まずはフェイント! 思いっきり盾を殴ると見せかけて、右に回り込んで殴っ!?


「は?」


 これはびっくりしたぞ、俺が右に回り込んで殴ろうとした瞬間に盾がとてつもないスピードで動いてきた。相手はまだ一歩も動いていない。もしかしたらイベントが始まってから一歩も動いていないかもしれない。それほどの安定感というか、もはやオブジェクトのようだ。


 一旦距離を離す。これはどうやったらダメージを与えられるのか。相手の反応速度を超えるしかないな、超高速で動いて相手を殴ろう。まずは相手の回りを全速力で走る!


「【神速】っ!」


 走っているが相手は全く動かない、それならばこちらからだな、相手は俺を認識出来ているかどうか際どいところだろう。よっしゃいくぜ!


 ……っ!? くそ、また防がれた。どうしても攻撃する瞬間は直線的な動作で狙っているところが分かり、そして攻撃が届くまでの一瞬の間に盾が瞬間移動するかのように俺の前に現れる。これは厳しいか?


 いや、まだだ。相手との距離を詰める必要があるから、その隙に盾を構えられてしまう。それならば距離を詰め、ゼロ距離で攻撃をし続ければ流石に当たるだろう。


 よし、まずは接近する。もう大きな盾が目の前にある。これだけ近づいても攻撃する様子はない。よし、この鉄壁を破ってこそだな!


 ここでボクシングが活かされるな、感覚を研ぎ澄まして、軽快なステップでパンチを繰り出していく、右に左にフェイントや規則性を変えながら。


 最初は防がれるが徐々に相手の反応が追いつかなくなる。そして、漸く、


「よ……し?」


 確かに俺のパンチは当たった、相手に。だが、その先にいたのは全身プレートアーマーの人だった。男か女かの区別もつかない。人間らしさが一切感じられず、まるでロボットといるよりただの鎧と言った方がしっくりくる。


 そんなことを考えていたのも束の間、直ぐに盾を構えられる。


 そうだ、俺の素手での攻撃はスキルありきの攻撃でそれ単体ではそれほど威力がないのだ。だからたかが一発では全く効いている様子はないし、その一発を許容されることでまた振り出しに戻ってしまう。


 一発が遠い、そして二発目も遠い。これは中々骨の折れる戦いになりそうだ。



ーーー残り人数二十人






——————————————————

バトルロワイヤル系のゲームって最近流行っていますよね……?


私は経験がないのです。もし、同志の方がいらっしゃレバ♡で教えていただけるとほっとします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る