第55話 反撃
俺を狙ってきた奴にはしっかりお仕置きが必要だな。開始早々、狙撃してくるとかヤバいな。ほんと俺じゃなかったら可哀想だぜ。ってなわけで、相手の居場所は?
ってまた反応した! 今度はしっかりと避けられたな。矢が速いと危険察知が発動して着弾までの時間が短いから避けるのに精一杯になってしまうな。だが、もうこれで完璧に位置は把握したぞ。どうやら、あの木の上にいるようだな。勿論武器は使わない。怒ったからといって武器を使うほどやわなメンタルはしていないからな。
「【神速】っ!!」
およそ二百から三百メートルくらいの距離だったか? いつも距離を気にして走ってないから適当なんだが気持ちそのくらいだ。
全速力ダッシュで木の下に到着すると、全力でジャンプ、ちょうど相手がいる高さくらいまでジャンプできたから顔面を殴る……のは流石に可哀想だから、腹パンにしとこう。これで相手を叩き落とすことが出来たな。
相手を叩き落とすまでにかかった時間はほんの数秒だが、俺はこうしてめちゃくちゃ考えることが出来る。あの、スポ根アニメとかで良くある、ここぞというタイミングで主人公だけめちゃくちゃ頭の中で考察してるやつだ。
あれ、どうなってるんだろうな? たまに結構長めの長文とかあるから、おい、お前のためにそんな待ってくれないから! とか言いたくなるよな。因みに俺はスキルの集中使ってるんで苦情は受け付けません。武器を使わないとは言ったけどスキルは使いますよそりゃ。
特にぱっと見でわからない奴は乱用していく。未来予知とかもさっき発動した。
今、俺も地面に着地したぞ。空中でめちゃくちゃ考えてたけどスキル様々だな。やばい、流石に戦闘に集中しよう。
相手は俺に殴られるまでは唖然としてたが、地面に落ちてからの対応は早かった。瞬時に体勢を整え、弓から手を離し、懐からナイフを取り出した。速い、かなり慣れているようだ。ってか近接戦闘もできるのか? 一抹の不安が残るが、俺もすぐに近づく。
集中と未来予知を発動しているため、相手の行動が手に取るように分かる。ナイフでも戦い慣れているのか全然迷いがない。集中を使ってるからって別に俺だけ速く動けるわけじゃないからそんなに圧倒できるわけじゃないけど、全部の攻撃を避けて、全部の攻撃を当てる。それだけを意識する。
相手はまず左肩から右の脇に向かって袈裟斬りを仕掛けてきた。未来予知は相手の攻撃のラインが見える感じだ。ただ相手が見えていないと発動はしない、さっきの狙撃の時のように。俺はそれをギリギリで避けて、相手が振り切った瞬間にまたもや腹パン。顔パンは流石にこっちが躊躇ってしまう。
その後もずっと同じ展開で相手の攻撃を全てギリギリで躱して殴るだけだ。そしたら二、三回くらいで相手を倒すことが出来た。少し呆気なかった気もするが、やっぱり対人だと相手の必死感がよりリアルに感じられてヒリヒリするな。もっと強い相手と戦うのが少し楽しみになって来たな。
ーーーとある弓兵
よし、イベントが始まったぞ! 前回のイベントでは惜しくも決勝に行けなかったんだが、今回こそは絶対に勝ち上がってやる! 俺は前回イベントの後、猛特訓を重ねて来たんだ! 今回の俺は一味も二味も違うぜ!
うわっ! まじか草原かよー。隠れる場所がほぼ無いから弓は不利だよな。まあ、そんな時の為にナイフを使った短刀術も鍛えてきたんだ! その成果が発揮できるなら良しとするか!
あ、でも木があるぞ! これなら一方的に上から仕留められる! これはラッキーだな。よし、早速射抜いて行くぞ、近づかれる前に倒してしまえばこっちのもんだからな。よし、あいつにしよう。開始早々すまないな。
「よしっ! 当たったぜ! 俺のエイム今日もビンビンだな!」
この調子でもう一本!って……え? 避けられた? いや、流石にたまたまだろう、近づかれる前に早いとこ倒さないと……ってあれ?
「消えた……? どこに行っ……ぶほぉ!!」
は? 今何があった? 人が目の前にいなかったか? やばい、落ちてる……
ってポカンとしてる場合じゃない、敵だ! どこから現れたか知らないが、とうとう近づかれてしまったな、だが俺をそんじょそこらの弓兵と同じにするなよ! 俺にはナイフが使えるだ! 食らえ!
よし! って、あれ? 当たってな
「ぶほぉお!!」
くそ……パンチが強烈だ。だが俺はこんなところで負けるわけにはいかないんだよぉ!!
「ぶほっ」
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