第54話 イベント開始
『第三回公式イベントを開始致します』
うぉー!! 遂に始まったぞー! と言っても俺はグループDだからまだまだ先なんだけどな。今から各レベル帯のAとBグループの予選が始まったらしい。だから、この次が俺の番だな。少し緊張するな、こういうのは初めてだからなしかもみんなからも見られるらしいからな。
勿論、俺も他のグループを観戦する事ができる。ちょっくら敵情視察というわけで見てみるか。
予選ですら総勢百人にも及ぶんだからかなりの規模だよなー。すげーなこのゲーム、なんの気無しにいや気持ちはあったが邪な気持ちで始めた身としては少し申し訳ない気持ちもあるな。だが、その分俺もしっかり楽しもうとしてるんだから別にいいよな?
お、早速始まったらしい。流石に百人規模なので、俯瞰的に見れるというわけではなく、戦闘フィールドを実体のないカメラが飛んでいて、自動的に戦闘が行われているシーンだけを選んで放送されているらしい。だから常に見応えのあるシーンばっかりだし、戦闘しなければ映らないとも言える。
戦闘フィールドは毎回ランダムに選出されるらしい。市街地、砂漠、森、草原、湿地帯などだ。俺はと言うと、まあどこでも死んだことあるから特に好みはないな。
うーん。なんか思ってたより地味だな。もう少しこう、スキルがバンバン飛び交うような試合を想定していたんだが、皆自分の武器を主体に時々武器のスキルを使って無難に? 確実に? 手堅く? まあなんというかそんな感じだ。
あー。みんな勝ち上がって決勝に行った時に、手札がバレてるのが嫌なのか。でもそれにしても予選勝ち上がれ無かったら意味なくないか? と思ったらこれ中級者レベルだったわ。上級者はうん、結構スキル使ってる。それでも思ってたよりって感じだけど、中級者に比べれば見応えはある。初心者は……伸び代がある、とだけ言っておこう。
お、終わった様だな。俺に関係のある上級者のグループ二つは、長剣使いがそれぞれのグループに一人ずつ、あとAグループには弓使いと斧使い、Bグループには魔法使いとんー双剣使いかな? どちらかと言うと盗賊のような感じがするな。みんな強そうだ。何より全身装備がとてもカッコいい! 歴戦の戦士感出てて、とても良い! 俺もイベントが終わった頃には装備もらえる! ……はず。
「次の戦闘を開始します。戦闘準備をして下さい」
お! 遂に俺の出番のようだな! 俺の初対人戦だ! あ、あの組織の奴らはノーカンだあれは対人というより何とか無双って言った方がしっくりくる。まあ相手はNPCだったしな。
装備は今回素手で行こうと思う。皆手札を隠しているようだし、俺もそれに倣う。武器を決勝から使いだすとは流石に予想出来ないだろう。でも、予選でピンチになったら流石に使うつもりだ。そこは臨機応変に見極めたいな。
なんと言っても初対人戦の初イベントだ! 楽しんでいこう!
「Dグループの予選を開始します。該当選手は戦闘フィードに転送されます」
きたー!! 遂にきました! やっぱりワクワクするなこの感じ! 子供の頃以来かもしれない。自分が育てたキャラで友達と対戦する時のようなそんな気持ちだ。
場所は……うん、草原だな。なんっにもない! 所々に木が立っているがほんとそれくらいだ。めちゃめちゃ清々しい! 時折吹く風が最高である。
突然、右太腿あたりがチクッとというかピリッとと言えばいいのかわからないが何か悪寒が走った。
「え?」
俺の危険察知が反応したのだ。俺がその事実に気づくとほとんど同じタイミングで俺の太腿に矢が飛んで来た。
「痛っ! っくない?」
あ、俺刺突無効持ってたか。自分のスキルってついつい忘れてしまうんだよな。俺の悪い癖だ。それにしても便利なスキル持ってて良かったぜ。開始早々にして初イベ退場になるところだったな。ホーンラビットには感謝だ。
まあ、それはいいとして、俺を開始早々に狙ってきた奴には少しお仕置きしないとなー。本当に退場してたらどうするつもりだったんだよ! 俺じゃなくても可哀想だろ!
ってなわけで反撃開始だな。
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