第43話 報酬


「さ、流石にこれは驚いたぜ……まさか荷車いっぱいに団員が詰め込まれてるとはな。開いた口も塞がらないっていうのはまさにこの事だったのか。まあ、なにはともあれ無事に帰ってきてくれてありがとう。そしてお疲れさん。こんだけ身柄も確保してくれたんだから報酬も上乗せしてやらねーとな」


 うぉ! やったぜ! あの地道な作業は無駄じゃなかったんだな。これは頑張った甲斐があるってもんだぜ。もうひたすら単純作業はしんどかったからな。報われて良かった。


 それにしても何故身柄を確保したら報酬を上乗せしてくれたかと言うと、盗賊とか悪党の身柄を街の衛兵に差し出すと街から報酬がはいるんだそうだ。


 俺のおかげでここのギルドもだいぶ懐が暖まっただろう。まあ、俺も暖かくなったから気分は乗っている。


 今回の報酬はなんと三百万だ。もともとの額は百五十万だったのがなんと倍、倍である。かなりの量いたからな、下っ端達。それに、ボスまで捕まえたし結構街からも貰ってるのだろう。俺個人にこんだけきてるんだからな。


 それよりもあの組織が手に入れて来た財宝なんだが、後日アジトをガサ入れして捕まえ損ねた組員などの捜索を行うとともに回収するらしい。


 少し勿体ない気もするが、まあ自分のものにしたら組員の奴らと一緒になってしまうことを考えたらまあやらなくて良かった気もする。


 でも、まあ俺が解体したんだから俺ももらってもいいと思うんだが。お宝は所有者がいる場合はそちらに返却して、もう既にいない場合は売り払って報酬金の方に回しているらしい。


 まあ誰かの懐に入ってないだけましだな。途中で誰かが盗んでたら俺はそいつを狩る。


 まあ、もうお宝の話はこの辺にして残りの五十万をどうやって稼ぐかだな。はっきりいってあの組織の解体だけで三百万は破格だ。コスパが良すぎた。あれよりももっと手間のかかりそうなモンスターでも三百万はいかないからな。そう考えるとラッキーだったなほんとに。


 よし、もう、次の依頼に行こう。といってもまだ何をするのか決めていないんだが。依頼が貼ってある掲示板を見ると、難易度に応じて報酬が変わるモンスターの討伐依頼と、簡単な割に結構貰える暗殺、護衛系がある。


 ただ暗殺系はあんまりぱっとしたものがなく、護衛系もそこそこ良いのがあるが、時間をかなりとられるため今回はモンスター討伐にしようと思う。


 モンスター討伐の中で比較的良さそうなのがクラーケンの狩猟だ。海上、もしくは水中で戦うことになるからか、比較的簡単そうな割に報酬がそこそこ良い。六十万だ。これをクリアすれば一気に目標金額達成だ。これならイベント前までに余裕で終わるし、なんならすこしくらいは死ぬことも出来るかもしれない。


 しかし、実際の難易度がわからないため予想以上に苦戦する可能性もある。まあ、それでもイベント前には終わるか? 個人的には早く終わらせてツケを解消したいな。借金してるみたいでずっと心残りで気になったままになっちゃうからな。それももう終わりだ。


 あ、そういえばここは金庫みたいなものはあるのだろうか。万が一死んだ時の為にお金は預けておきたい。今まで散々デスペナ食らってきたけど流石に稼いだお金を無償で投げ捨てたくはないからな。受付の人に聞くか。


「すみません、この依頼を受けたいのと、ここって金庫みたいな物はありますか? お金を預けていたいんですが」


「おう、大仕事が終わったばっかりなのに働き者だな! えらいな! それと、金庫か、あるぞー。確かにおめぇさん大金もらってたからな、とられたりなくしたりしたら笑い事じゃねーからな。しっかりと預けていくがいい。手数料かかっちまうが何より安全だしな。いつも頑張ってるお前に手数料なんてとって申し訳ないがな。預ける分のお金もらっていいか? 金庫入れてくるぞ」


 おー! しっかり預かってくれた。その後もエールをもらって依頼にむかった。今回は少し遠目だ。始まりの街の南部の湿地帯の更に奥には海が広がっているそうだ。そこにはそんなに大規模ではないが街が栄えているそうな。一応そこはこの街の方が遠いがこっちの管轄らしい。始まりの街は新人の発見、育成に大変なんだとか。


 それよりも、その街は始まりの街にいる時全然知らなかったからこの第二の街に来たことでいけるようになった場所なんだろうか? まあなにはともあれ行きますか!


 今回の行先は前から言ってたハーゲンの休息も兼ねている。なんとなく、伝わってきたハーゲンの気持ちをしっかりと汲み取った結果だ。ハーゲンには思い存分羽を休めて欲しい。


「今回も頼むぜ! ハーゲン!!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る