第42話 ボス戦
「「え?」」
地下に入り長い通路を抜けた先にあった、その扉を開けると、そこには初老の男性がいた。あれ?俺の予想では金銀財宝、宝の山が目の前に広がっているのを予想してたんだけど……なんで、こんな所におっさんがいるんだ?
「だ、誰だお前は!! ど、どうやってこの地下室に入ってきた!」
どうやってって言われても普通に着いたんだけどな……ってかこの人誰だろ、お宝盗んでる人なら少し分けて欲しい。分けてくれなかったら密告しようかな。うん、そうしよう。そうしたら少し貰えるかもだし。
「普通に気づいたらここにたどり着きました。それにおじさんこそこんなとこで何してるんですか? もしかして盗みとかですか?」
「な、何を!? 普通にだと? そ、そんな普通に来れる場所なわけないだろ! ってか私を誰だと思っているんだ? 私はこの組織ディグニッシュドグラスのボスだぞ! 盗みなんてするわけがないじゃないだろう! それより、お前こそ人のアジトに勝手に入りおって何様だ!」
え! この人この組織のボスだったのか。それはびっくり、それならなんでこんなとこにいるんだ? ってか組織名長すぎて忘れてたわ、まあ覚える必要もないか。
ってかこの人捕まえたら、依頼終わりなのか? お宝が手に入ると思っていただけちょっと残念だな。まあ、いいや、そんなに時間もかかったわけではないし、こんなもんか。
「私は暗殺ギルドの者なんですが、この組織を解体しに来ました。なんで貴方を拘束しますね。大人しくしていて下さい。そしたら危なくないので」
「な、なにぃーー!? 暗殺ギルドだと? 巷には噂されていたが、本当に存在しているとはな……万が一の為にこの部屋に居て正解だったようだ。あの通路をどうやって抜けてきたか分からないが、この部屋に入ったのがお前の最後だ。恨むなら自分がそのギルドに入ったことを恨めよ。出てこいっ!」
組織のボスが呼びかけたその瞬間何処からか全身鎧の兵士が十名ほど、現れた。部屋の壁や天井に隠し扉みたいなものがあったのだろう。どうやら、通路よりもこの部屋の方がより殺意高めのようだ。
でも、こちらは人型だし何よりも見えてるから対応がしやすい。数は多いけど一人ずつ倒していけばいずれなくなるからな。俺には未来予知のスキルでかなり楽に戦わせてもらってる。はっきり言ってモンスターに比べれば弱すぎるくらいだ。いや、モンスターが強すぎるだけか?
そうこうしていると、どれだけ殴っても相手が気絶していないことに気づいた。さっきの下っ端達を気絶させていた感覚からすると、もう瀕死寸前まで殴っている個体もあるのに全く動きが鈍らない。もしかして、人じゃない?
そう思って武器を取り出して首を刎ねてみると案の定血飛沫は上がらなかった。どうやらゴーレムのようだ。中は鉱石のようだ、首を刎ねても体だけで動き続けている。どうやら、人同じやり方では死なないらいし。
そうなってくると、ゴーレムの弱点というものは相場が決まっている。流石に俺でもわかる程有名だ。ゴーレムには必ず弱点となる、核の部分があるはずだ。そこを狙えば倒せるはずだ。
「これで、最後っ!」
弱点である、ゴーレムの核はどうやら胸にあったようだ。最初の一体を倒すのに時間がかかったが、それからは早かった。鎧の上から貫通させて一撃だ。ゴーレムは核を壊されるとまるで操り人形の糸が切れたかの様に急に地面へとバラバラに崩れる。
なんかあっけなかったな。通路の方がよっぽどめんどくさかった。いや、それを言えば下っ端軍団の方かな? それより、
「それで、おじさんどうするの? もう、素直に捕まろ? 痛いの嫌でしょ? あーそれか隠している財宝のありかを教えてくれたら、少し考えてあげてもいいよ?」
「ほ、本当か!? 私らが今まで貯めてきた財宝はこのアジトの頂上にある! だからどうか見逃してくれ! 頼む! 元々はアジトの頂上に私がいると思われているだろうから、私はいつも地下に居り、その代わりに頂上までたどり着いた輩にはお宝を見せればホクホク顔で帰っていくという寸法だったのだ。こうすれば私の命は安全と思っていたのだが、まさかこうも早く見つかってしまうっ……」
話が長いから気絶させた。今から頂上まで誰がわざわざ行くかよ。そんなとこにある時点で行く気失せたわ。はーこれで結局宝は手に入らなかったか。まあ、もう諦めたことだし、さっさと切り替えよう。こいつも着ている服で縛ろう。下っ端と比べて服がいいな、その分縛りにくいが。スキルのおかげでなんとかなるだろう。
よし、ボスも捕まえたし早めに帰ろう。時間かける必要もないしな。早く金もらって次の依頼をしなければ。
アジトの外に大きめの荷車があったからそこにボス諸共詰め込んで、ハーゲンに荷車を引かせてその上に俺が乗る。うん、楽ちんだな。この荷車は盗品とか薬物とか奴隷とかが載っていたのだろう。まさか自分達が乗るとは夢にも思っていなかったのだろう。まあ自業自得だな。
街に着いた。門番の人に怪しまれたけど、ギルドカード見せたら余裕だった。それでギルド前まできたんだが、中には入れない。だから受付の人に外まで来てもらうことにした。
「すみません。ギルドの解体が終わったんですけども、捕まえたし奴らを外に置いてるので外の方へ来てもらえますか?」
「お、お前か! もう終わったのか! それに団員まで捕まえて来たのか! やはり流石だな。ありがとう。それで、何処に捕まえた奴らがいるんだ?」
「ここに、」
「ん? 何処だ?」
「この荷車の中に、」
「は?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます