第41話 アジト潜入
よし、見張りを殺さず気絶させてなんとかアジトに侵入できたぞ。見張りの二人はロープとかあればよかったんだが生憎そんなに都合の良い物を持っていなかったので、服を脱がせてそれで手足を縛っておいた。だから下着姿で手足を縛れてることになるな。かなりだるかったけど。
よし、ここからはなるべく接敵せずにうまくやり過ごしていきたいな。まあ、万が一敵が来ても俺には危険察知があるから不意打ちとかは対処できると信じてる。俺に攻撃してきたら見張りと同じ状態にしてやるだけだけどな。
ーーースキル【峰打ち】
スキル【気配察知】を獲得しました。
【峰打ち】‥このスキルを使用した次の攻撃はどれだけ攻撃力が高くても相手を殺さなくなる。
【気配察知】‥生き物の気配を感じられるようになる。効果範囲、精度は熟練度によって変化する。
うん。めちゃくちゃ人いた。え? アジトに敵が待ち構えてたり、徘徊してるのはゲームの中だけじゃないの? そんな廊下に突っ立ってたり、ウロウロしたりする? 部屋で仕事しとけよ、って思うけどな。ってずっとイチャモンを心の中でつけてたらそういえばここゲームでした。ならいい、よな?
人がいるたびに毎回警戒して、毎回気絶させてたら、峰打ちと気配察知をゲットしてしまった。もうだいたい五十人近く遭遇したんじゃないかな? 多すぎだろ。まあ、スキルのおかげでめちゃめちゃ楽になったのは事実だがな。
思いっきり殴っても死なないし、何もしなくても人がいるのがだいたい分かるからな。精神的負担が大分軽くなった。かと言って、別に組織の人間が減るわけではないため体は酷使しまくったけどな。
気絶させた奴らはその場に放置しておくと味方に助けられるのも癪だから一定数たまると、ハーゲンに乗せて一つの部屋にまとめている。その部屋にハーゲンを待機させてるから助けられることの心配もないし、たまったら召喚すればいいだけだからかなり楽だ。
ーーースキル【拘束】
スキル【効率化】を獲得しました。
ーーー称号《魔物使い》を獲得しました。
【拘束】‥自分が拘束した相手は自分が解除するか、自分より熟練度の高い人の解除でなければ解くことが出来なくなる。
【効率化】‥自分の行う作業が効率化される。
《魔物使い》‥自分が使役しているモンスターを百五十回召喚する。魔物使いになることができる。使役しているモンスターとの意思疎通がより可能になる。
いや、もう三桁いってから何人くらいか数えてもない、スキルを見れば分かる通りだ。もう何も言うことはないだろう。ずっと同じ作業をしていたらなんかニッチなスキルを獲得してしまった。まあ、いいと思う。この機会に役に立てばこれから役に立たなくてもいいと思う。
それよりも、魔物使いだ。ハーゲンとの仲が更に深まったとみて間違いないだろう。ハーゲンにはお世話になりっぱなしだったからな、この依頼が終わった後に好きな事をさせる予定だから、意思疎通が少しでも出来る様になることはいいことだ。この依頼が終わった後が楽しみになってきた。
そんなことを考えながら拘束し続けていると、だんだんと数が減り、遂には遭遇しなくなった。もう、ほとんどの奴らを拘束したってことだろう。そうやって歩き回っていると、地下への階段を見つけた。このアジトは城みたいな形だったからてっきり上に続く階段があると思っていたが、まさかの下に続く階段だ。
隠されたお宝とかがあるかもしれないから、少しワクワクしている。
「お、少し重いな」
蓋をしっかり開けるにはかなりの力が必要だった。なんとか開けられたが、普通の人なら何人かで協力しないとキツイぞこれは。ということはそれだけ重要度が高いってことだ。期待が膨らむな。
そして階段を降りると、長い通路があった。奥には扉が見えるが、かなり長い百メートルくらいはあるのではないだろうか。めちゃくちゃ長い。しかも、俺の危険察知がビンビン反応してる。恐らくかなりの量の罠が仕掛けられているのだろう。これは間違いなくお宝が隠されている。なんとしても突破せねば。
そうして、危険察知をフル活用しながら進んでいくと、罠のオンパレードだった。もちろん落とし穴はあるが、中に入っているもののレパートリーが多かった。針、炎、毒、液体(しかも粘着性高いやつ)などだな。それに、矢もひっきりなしに、上下左右から飛んでくるし全て毒付きだ。おまけにうえから丁度通路と同じサイズの鉄球が降ってきたりもした。
かなり、大変だったが漸く奥までたどり着いた。この組織を解体させる前にちょっくらボーナスでも頂きますか!
そうしてドアを開けると、
「「え?」」
そこに居たのは初老の男性だった。
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