第37話 謎解き
考え事したたらいつの間にスキルゲットしてたな。考えすぎて高速思考なんてものまでゲットしてしまったぜ。まあ、その分色んな事考えられるから別にいいか。戦闘中は一瞬の判断で生死をわけるからなかなり有用であることに間違いはないだろう。
今まで頭を動かしてきたかはそろそろ体も動かすか。もう雪山じゃ死ねなくなっただろうし、ちょうどいいだろう。
そういえば、まだ山頂に行って無かったな。もうこの山には来ないだろうし、最後に山頂に行ってこの山とはおさらばだな。となれば山頂まで全力で駆け上がろう。
「【俊足】っ!!」
基本移動する時には俺は俊足を使う。移動時間は短い方がいいし、速く走るのも案外楽しい。今までで一番使っているかもしれないくらいだ。道中にモンスターが出てくるが、俺よりレベルが低いのだろう、帝王の効果で明らかに弱体化しており、立ち止まるまでもなく一太刀で切り捨てていく。
それにしてもかなり高い山だな。いくら登ってもまだまだだ。これは気合いを入れないといけないようだな。
ーーー一時間後、
「はぁ、はぁはぁ……」
これは明らかにおかしいぞ。どれだけ走ってると思ってるんだ。スキルも使ってかなりの速度で走っているのに、一向に山頂との距離が縮まらない。同じところを何度もループしているような感じだ。だが、山の中でしかも雪が積もっておりここがどこかもわからない。目印をつけたところで雪が降れば見えなくなるし意味がない。
「どうすれば……」
これはモンスターの仕業なのか? 同じ所をループさせて迷わせるなんて手法は良くあるだろう。だがどうやって元凶を見つければいい、この雪の中に同化されれば見つけようがないぞ。
何か謎が隠されているのだろうか……しかし、そんなの分からないぞ、謎解きは苦手なんだ。くそ、どうにかここを抜ける方法は無いのか、死ねないだけに死に戻れないし、普通に山頂に行きたいんだが……
ん? 待てよ、山頂はここから微かに見えるから方向は分かる。ということは常に山頂を向いて走っていて山頂の見え方が変わる瞬間があったらそこがおかしいということだ。よし、山頂に向かって走ろう!
ーーー三十分後、
いや、同じ向きに走っているが、山頂の大きさが変わらない。どれだけ速くどれだけ長く走っても変わらない。ということは俺が移動していないか、何か別のものを見させられているかのどちらかだな。
んー難しいな。どうすればいいんだ? まったく分からない。もう足では無理だな。かといってハーゲンにも頼れないとなると、なにか別の手段で山頂まで行くしかない。
……物理的に山頂に近づいて見るのはどうだろう? いくら走っても近づけないなら木に登ってみよう。それで山頂の見え方も変わるかもしれない。
木に登っても山頂の大きさは変わらない。ますますおかしい、どんなに近づいても大きさが変わらないなんてことあるのか? これは確実にモンスターを倒さなければ行けなさそうだ。どこにいる?
俺が木のテッペンに着いて周囲を見渡すとそこには何も無かった……
「ん? いや待てよこんなこと前にもあったような……」
そうだ! 湖の中の時だ! あの時も何か違和感を感じてた気がする。そして俺はそれをどうにかして神殿にたどり着いたんだ。何をしたんだっけ……? 湖底で真っ暗じゃ無いのがおかしくて……じっと見つめて……あっ!
「看破だ!」
そういえば俺そんなスキル持ってたな! 忘れてたぜ! そうそう、それで秘密の抜け穴みたいなのを見つけたんだ!
そうとわかれば早い話だな。看破を使おう。問題はどこで使うかだな。前はどこで使うか分かりやすかったが今回は微妙だな。だが、看破ってことは何かが隠されているってことだろ? 隠すってことはどうやって何を隠している? 隠れているもの……違和感を感じたもの……隠れているってことは見た目は変わらないってことだよな? つまり、ずっと変わらなかったものだ!
そう! 頂上だ! 頂上が隠されていたんだな。登る時は頂上を確認しながら登るしかない、それを隠すことで迷わせていたのか、なるほどな。タネがわかれば後は簡単だ。
「【看破】!!」
俺がスキルを頂上に向けて使うと、そこにいたのは……猿だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます