第34話 感謝


 ここからは第二ラウンドだ。俺も武器を使おうじゃないか。一本ずつ使ってもいいが、やはり二刀流だろう。手数が増えるし、何よりカッコいい。では、


「【俊足】っ!!」


 再び虎の元へと向かっていく。やはり相手もかなり素早く、反応速度も速い。先程通り前足の爪で迎撃してくる。


 だが、今の俺は一味も二味も違うぜ! まず左手に持った帝王で爪を弾いて防ぐ。そうすると相手の体勢を崩れて攻撃が止む。その隙に俺の右手の海龍で斬りつける!


 うん。いい感じだな。剣は重すぎず軽すぎずと言った所だがほどよい重量感がある。それにやはり攻撃力も高いのだろう。攻撃力がそれほど上がってない時でもかなりダメージが入ってる気がする。拳よりもかなり効率が良いぞ、もう戻れるか怪しいな。


 虎の攻撃を弾いて、斬りつける。相手の首が二つあって、噛みつき攻撃を普通の二倍警戒しないといけないが、足は四本だから通常通りだ。それを繰り返していると、相手の隙が大きくなり更に斬りつける。そうしている中、武器を使い始めて程なく、相手の虎が攻撃を中断して何やら天を向いて咆哮した。


 これは怒りモーションということか? という事はかなり攻撃が効いているということだな? この調子で倒そう!


 怒り状態になってから、攻撃威力と速度か増した気がする。それに通常状態の時は片方が警戒、もう片方が攻撃みたいな感じだったが今は両方攻撃に転じており、激しさが急に増してきた。


 それでもやはりこちらも二刀流にしたのが良かったのだろう。相手の攻撃を防ぎつつ、攻撃できたのが良かったのだろう。なんとか倒す事ができた。


「ふぅ、今回は大変だったな」


 今回の敵は今までに比べるとなかなか強敵だったな。武器を使っても尚大変だったし。こんなにも苦戦したのは初めてだ。


 俺が一番初めに倒した強敵リヴァイアサンは攻撃速度が遅いかわりに一撃一撃が強かったから、俺のスキルコンボが決まって死ななかったが、今回は無効効果を無効にされたり、相手のスピードが速かったりと相性がかなり悪かったな。


 まあ、それでも勝てて良かったな。住人にも被害が出ななくて済むしこれで一安心だな。


 それにしても武器を使えばこんなにも楽にモンスターを倒せるんだな。これからは武器も使っていこう。もう拳には戻れないかもしれないな。まあ折角いい金をだして買ったんだから使わないと損か。


 よし、取り敢えず戻って報告しよう。早く死んでもっと強くなってもっと強い敵を倒さないとな。今回はかなりいい経験になったな。いつもはこちらが一方的に勝てるまで強くなってたからこんなギリギリの戦いをすることなんてないからな。


 まあ、それでもやっぱり強くなって一方的に勝つのも好きなんだけどな。




 よし、ギルドに着いたぞ。早速報告しよう。


「すみません。討伐してきました」


 そういってギルドカードを提示する。すると倒した敵が記録されて分かるようになっているらしい。無駄にハイテクである。まあ討伐証明部位とかを一々見せなくても良いのは楽だな。全部素材に回せる。


「うん。これで依頼完了だな、お疲れさん。よく倒してくれた! 終わった後に言うのもなんだが、実はな、こんな急に依頼を頼んだのには訳があってな、俺の家族があの集落に住んでたんだ。俺がどうにか出来れば良かったんだが、あのモンスターはなかなか強敵でな俺じゃ無理だったんだ。他のギルドメンバーでも厳しいのか中々受けれくれなくてな……

 そこにお前さんが来てくれたって訳だ。前の街でも大活躍してる期待のルーキーならと思ってな。少し騙すようになってしまい申し訳ない。それでも倒してくれてありがとう。本当に感謝している。してもしてもしきれないぐらいだがな。ありがとう」


 へぇ、そんな裏話があったのか。また人の役に立てて良かったな。人から感謝されるのも悪くないな。なんか久しぶりな感覚だな。これからも人助けちょくちょくしていきたいなー。


今回は色んな意味で沢山の収穫があったな。でも次は取り敢えず死のう。

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