第33話 無効


〈Lv.92 ホワイトツヴァイタイガー〉


 頭が二つある……確かにこの見た目は結構キツイな。それも白い虎だしな。普通、龍とかにあるものじゃね? ギドラとかヤマタノオロチとか有名だよな? あんまり詳しく無いけど。


 それにしてもこの見た目は確かに住人さん達も怖くて動けませんね。俺も現実で会ったら速攻で死ぬだろうな。


 こいつの外見の特徴は白い毛並み、二つ首、鋭く大きな牙、あと単純に体格が大きい。威圧感がとてもすごいな。牙はサーベルタイガーのように二本前歯?から伸びているが、とても大きくてもはやただの凶器である。そのまま武器になりそうだ。


 それに、ただの牙ではなく、返しが無数についており、刺さったら噛み切られるまで抜けなさそうだ。それに牙だけでなく、足の爪もかなり立派だ。足は四本でいいんだが、牙は頭が二つあるから四本になるんだよな……これは苦戦するかもしれないな。


 二つの頭といえば、それぞれが別々に思考して互いに補完しながら戦ってくるのか? 向いている意識とかが違って連携とかされたら、単純に二対一だろ。卑怯じゃないか?


 まあ、やるしかねぇな。住人を餌にするわけにもいかないしな。取り敢えず相手の攻撃を躱す。それでも被弾した場合でもHPが1残る+自動回復で全回復。これが俺の必勝パターンだ。


 それに、今まで積み重ねてきた俺の屍(死亡数)のおかげで様々な無効効果もある。刺突や斬撃障壁などだ。この三重の壁が俺を守ってくれるはずだ。だから俺は死なないはずだ。


 攻撃手段には殴れば殴る程威力が上がる俺の拳に加え、俺には新武器がある。こいつら初戦だ、華々しく白星で飾りたい。


「まずはお手並拝見といこうか。【俊足】っ!」


 いつも通り、初手から全力で虎に向かって行く。まずは軽いけど一発目だな。おらっ!


 って速い!俺の速度に反応している!? 俺の攻撃に合わせて前足の爪で迎撃してくる。だが、俺には斬撃障壁がある。例え爪といえども斬撃には変わらないだろう。


 ってえ? ダメージ受けてる!? 何故だ? 爪による攻撃は斬撃では無いのか? それとも相手のスキルかなんかで俺の障壁を無効にしてるのか? って考えごとしてる場合じゃねぇ。次の攻撃がくる。HPはすぐに回復したが、攻撃は食らわない方がいい。


 これは非常にまずい。今までは相手の攻撃を躱したり、無効にしてる間に殴りまくって倒すという戦法だったんだが、今回の虎は攻撃速度が速すぎて避けるのに必死でその途中で攻撃できず、かといって斬撃障壁も無効だから気にせず殴ることも不可能。


 まあ、少しは殴ることも出来るが避ける度に攻撃が中断され連続攻撃にならない。どれほどの間に殴れば連続攻撃とみなされるか正確には分からないが、今の所手応えはない。


 カスHPと自動回復に頼ろうと思っても、相手の攻撃の間隔が狭すぎて自動回復を待っている間に次の攻撃が来てしまう。


 こいつは非常にまずいな……俺と相性が悪すぎるぞ。仕方ない、正直使う必要がなければ使わずに終わらせたかったのだが、使うか。


「よっしゃあ! 新武器ぃい!!」


 うんやっぱりテンション上がるな。この武器は性能も凄いが見た目もかっこいい。片方は燃えるような赤でもう片方は深海のような青、どちらも芸術品としても素晴らしいだろう。だが今回は血で濡れてもらうしかないようだな。


 今回は相手の方がレベルが高いので帝王の方の効果は発動しない。海龍の方はリスクが大きいのでこれを使う時は本当にやばくなった時だろう。


 よっしゃあじゃあ、第二ラウンド行きますか!!

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