第31話 第二の街


 やっとだ、やっと次の街に行けるぞ。この街で出来ることはほとんどやったはずだから問題ないだろう。


 それにこの街周辺のモンスターはもうほとんど余裕で倒せるようになったし、新しい武器もゲットしたしな。


 次の街に着いたら、まずギルドに行ってランクを上げる。そして依頼をこなす前に死ぬ。


 だって、俺がいくら依頼で稼いだ所でステータスアップの為に死にまくったらデスペナで全て持っていかれちゃうからな。だから先に死なないといけない。


 それにしても結構な方法で死んで来たから、俺が他の方法で死ねる様な場所があればいいんだけどな。ま、それは向こうに着いてからのお楽しみだな。


 よし、早速いこう。もたもたしてたら、死にまくった後に、お金、しかも大金を稼ぐことなんて厳しくなりそうだからな。


 スピーディに死んでスピーディに稼ぐ、これを目標にしていこう。では、


「よし、ハーゲン!!」


 ハーゲンはいつもは何処かに行ってて、俺が出てこいと念じながら名前を呼ぶと現れる。これが正しいやり方かどうか分からんが、まあ出てくるならなんでもいい。気分的に名前呼びたくなるしな。


 まあ、召喚獣の様な扱いなのかな? 街中ではしまっておけるし、困っていることは今のところない。


「頼むぞ、ハーゲン!」


 ❇︎


 よし、到着した。次の街へ行く時の移動ってのは普通、盗賊に襲われている商人を助けて恩を売ったり、とても険しい道のりでやっとの思いで辿り着く、みたいなイメージを勝手に持ってたんだが、ハーゲンに乗ってたから気付いてたら着いてて、なんの感慨もないな。やっと着いたかって感じだ。


 ハーゲンがいるから楽なだけなのか? まあ楽なんだから不満もないしちゃっちゃと行きますか。


 ……うん、道わかんないから取り敢えずハーゲンに乗って上から探そう。


 そういえば第二の街って名前なんていうんだろうな。名前ってあるのか? 始まりの街はずっとその名前で読んでたし、あるのかすら怪しいな。まあ、あったらいずれ分かるか。


「おー、良い眺めだ」


 上からだと全体が見えるからか、かなり探しやすい。お、あれっぽいな。始まりの街のギルドの建物とそっくりだし間違いないだろう。


 最近、間違え過ぎてる気もするが、気のせいだ。俺にはハーゲンもいるしな。大丈夫だ、大丈夫……多分。


 そういえば武器をもらいにいく時もこうすればよかったのか? いや、でも、流石に街中でやるのはまずいか。ここは一応第二の街の門のとこだし、あんまり迷惑じゃないはず。


 よし、着いたぞ。ここで合ってるっぽいな。早速入ろう。


 中はほとんど始まりの街と変わり無いな。変わった所と言えば受付の人が少し小柄になったくらいか? 始まりの街の受付はいかにもゴツい! って感じだったが、ここの受付は力を圧縮したかの様な感じだ。


 ……意味わからないな。この人の方が小さいけど恐らくこっちの方が強いんだろうな、っていう印象をうける。内に凄まじいパワーを秘めていそうだ。


 よし、早くランク上げてもらうか。


「すみません。この街に行けばランクを上げてもらえると聞いたんですが……」


「ん? あぁ! お前の話は聞いてるぞ! エンペラーオークとか他にもかなりの大物をたおして飛び級もしたらしいな。凄い活躍じゃないか。そんなお前に提案なんだが、俺が勧める依頼受けてみないか?」


 え? 依頼? いや、俺今から死にに行きたいんですけど……

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