第25話 骨骨


 よし、やっと着いたな。ここが依頼の場所である洞窟だな。寄り道し過ぎたぜ。ここであってるよな? 流石に三度目の正直だろう。ここで間違えてても笑えない。


 早速入ろう。見た目は普通の洞窟だな。入り口は狭くはないが広くもない。大人なら普通に入れる大きさだな。今は立ち入り禁止という看板があるだけで殆ど人気もない。


 まあ、ちゃちゃっと行こう。死んでも大丈夫だしな。


 洞窟の中に入るとかなり暗い。真っ暗ではないのはゲーム的補正なのか、普通に光がどこからかはいっているのかは分からないが進むのには支障はない。それよりも不気味なのは奥の方から微かに「カタカタカタ……」という音がすることだ。まだ何の音なのか分からないが恐らく敵のモンスターだろう。


 どんどんと奥に進んでいくと、そこには分かれ道があった。今までは一本道だったがここで分かれ道だ。何となく左を選ぶ。そうして、少し経つと……


「「カタカタカタカタカタッ!」」


「うおっ! こいつらの音だったのか!」


 どこからともなく二体のスケルトン達が襲いかかってきた。道に潜んでいた可能性もあるが急に湧き出てきたと考えた方がいいだろう。


〈Lv.30 スケルトン〉


 スケルトンでこのレベルだとボスはかなりレベルが高いのだろう。気を引き締めていかないとな。一体目を拳で、スケルトンをスキルのギロチンカッターで倒す。ギロチンカッターは運任せだが、修羅の道効果で成功率が上がっているため、通常よりもかなり使いやすい。それでも成功率は低いんだがな。


 それにしても急に湧いてくるから気が抜けない。常に張り詰めて進んでいくと、やはり何体ものスケルトン達に遭遇した。二、三体ならすぐに倒すことが出来るが、奥に行けば行くほど湧いてくる数も増え、レベルも上がっていく為、倒すのにも時間がかかり始める。


 そんな、洞窟の中をスケルトンを倒しながら進んで行くこと三十分ほど、ようやく門のようなものが見えた。


「おっ! やっとボスか!」


 早く倒して帰ろう。もうかなり疲れが溜まっている。一刻でも早く帰りたい俺は荒々しくドアを開け放つとそこに居たのは……スケルトンだった。


 ただし、スケルトンはスケルトンでもかなり強そうな、王者の風格を漂わせたスケルトンだ。かなり奥の方で豪華な椅子に座っている。


 それよりも気になる事がある。それは取り巻きだ。ボス戦に取り巻きが付いているのは分かる。もはや、当たり前だ。しかし今回の取り巻きは一味様子が違うのだ。


 スケルトンなのは確かだが、装備を着用している。しかも、みなバラバラだ。武器が違うのはまだわかるが、装備まで違うのは不自然だ。しかも系統も個体によって全然違う。


「これは……まさか! みんな、元、冒険者だったってことか!?」


 奥で座っている、スケルトンがニヤリと邪悪な笑みを溢したようだった。実際は骨だから表情すらないのだが……


「くそっ、どうすれば!? みんな元冒険者なら無闇に殺すのも躊躇われる。どうにかして、助けられるかもしれないからな……」


 相手が冒険者に戦わせるなら、こちらも全力で行くしかない。あの、骨野郎をぶっ倒したら流石に終わるだろう。骨だけになってしまっているから元通りになるかは怪しいがやるだけの価値はある。


「よっしゃあ! 骨ぇええ!!」


 取り巻きのスケルトン達は生かしておきたいのでガン無視だ。相手の攻撃はかわして、避けきれないのは普通にくらう。ある程度なら食らっても死なないし、回復する。そうやって一分もかからず王様スケルトンの元にたどり着いた。


〈Lv.64 キングリッチ〉


「おう、なかなかレベルは高いようだな。だがレベルだけじゃ俺には勝てないぞ? 行くぜっ!」


 飛び出して骨に急接近する。骨は右手に剣、左手に杖を持っており、いかにも両方使える感じだが、そんなのは使わせない。殴って、一気に片付ける!


「レベルアップしました」


 あれ? なんか案外あっさり倒してしまったな……行方不明者ってこいつに捕まえられてスケルトンにされてたんだな……


ーーー称号《王の討伐者》は《帝王の討伐者》に統合されます。


「条件を満たしました。【死霊魔術】を取得しますか?」


 お?

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