第22話 ミミズ


 ここはどこだ? 辺り一面砂漠だな。だが砂漠と言っても砂ではなく岩石砂漠のような感じだな。


 ってかそんなことはどうでもよくて、洞窟? どこにあるんだ? ずっと真っ直ぐ進んできたつもりなんだが……何かないか?


「ズズッ……」


 ん? なんか今地震みたいな揺れがしたような……流石に気のせいか。ここは仮想空間だし、立地的にも日本みたいに地震が多い場所ってわけじゃないだろう。それよりもなんか洞窟らしきものないかー?


「ズズズズズッ!!」


 ぬおっ!?な、なんだこれは急に地面から巨大な蛇みたいな奴が現れた! あれ? 蛇ってよりはなんか巨大なミミズみたいな感じだな、う、うわーでかいのも相まって至近距離で見るとなかなかきついものがあるな。


 あっ、そういうことか! こいつが急に地面から現れて人を食べるせいで行方不明になってるんだな? 目撃者はみんな食われちゃって誰も居なくなるのか! そうと決まればさっさと倒さないとな!


 キングオーク戦以来だな! もっともっとモンスターを倒して強くならないといけないからちょうどいいな! あっ、そういえばキングオークの時は名前見るの忘れてたな。キング、キングって思ってたけど、結局エンペラーだったし、今回は名前をきっちり覚えて報告しないとな!


〈Lv.75 カエクスディプロザウルス〉


 ん? こいつザウルスなのか? ザウルスって恐竜とかにつく名前だよな? こいつも恐竜ってこと? いやいやいや、誰しも男は小さいころに恐竜に憧れるもので、俺もそのうちの一人だったが、小さいころこんな奴に憧れた覚えはないぞ! せめて蛇ならまだしも、ザウルスはないだろ! ってか見た目どう頑張ってもミミズだよ! なんでミミズにこんな大層な名前つけたんだ運営は!


 もう、気持ち悪いから全力で倒すっ!


 生物たるもの、目を潰されては流石に効くだろ、先ずは目を潰すぜ! そうしたら視界も奪えるし一石二鳥だな。


 安定のジャンプ! からのぉーパンチっ! よし、もう一つが遠いな……オークの時みたいに一気にはきついか。反対側に速攻で回って、ジャーンプ、からのパンチっ!


 ふぅ、走り回ったけど、これであとはタコ殴りにするだけだな! 少しは暴れるだろうがもう攻撃することは出来まいっ!


「って、え? こっちに向かってきてね? これって見えてるの? やばい、食われる!」


 すんでの所で回避した。なんで見えてんの? 両目潰したのに……もしかしてあれは目ではない? ただの飾りとか? それとも視覚じゃない別の感覚で俺を察知してるとか? それってもうただの蛇じゃねーかよ!


 くっそーミミズ如きがー! こっちも容赦しないぜ!


「【筋力増強】! 【俊足】! これで決める!」


 俺は巨大ミミズの周りを高速で駆け回りながらヒットアンドアウェイを繰り返した。といってもそんなにアウェイというほどでもなく、向こうに気付かれたら場所を変える程度のものだが……


 それでも、俺の強みはなんといっても連続攻撃、スキルのおかげで徐々に徐々にダメージが上がっていった俺の拳にあのミミズは耐えることはできなかった。



「レベルアップしました」



「ふぅー」


 まぁなんとか倒せたな。見た目は気持ち悪いわ、目潰しても攻撃してくるわで厄介だったが、攻撃は食らってないし気づいたら倒せたからそんなにきつくはなかったな。これでギルドの人達も荷が降りたんじゃなかろうか。人助けはやはりいいな。もっと依頼をこなすのもありかもな。


 今回はレベルはそんなに上がってないし、成長面で言うとほとんど成果はないが、まあたまにはこんなのもいいだろう。よし、帰ろう。


「おぉー! 帰って来たか! これでも心配してたんだぞ? 状況は今どんな感じか?」


 ふっふっふー。もう、全て完了してるんだなそれが。まあ、ちゃんと説明しよう。


 そうして、俺が事の顛末を事細かに説明すると、


「ん? お前もしかして北の砂漠に行ってたのか?」

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