第20話 首吊り
自殺で有名っていうのも変だがまだ、首吊りやってなくね?
でも、首吊りってどこでやればいいんだろうか? 森の中でやったら人に見られるのはいいけど、見た人がどう思うかな? 明らかに事故ではないわけだしね……それにロープとかもその場に残っちゃうのかな? それだと取りに行くのも新調するのも面倒くさいし、大変だな。
というわけで、このゲーム初、宿を借りたいと思います! 普通のプレイヤーならとっくに始まりの街を出てログアウトする時とかに宿に泊まるんだろうけど、俺は生憎機会が無かったからね使おうとも思ってなかった。
が、宿に泊まるということは何もログアウトする為だけではない。そこがその人のリスポーン地点となるのだ。まあ、そりゃそうだ。俺の場合は全て始まりの街で完結するけど、別の街まで行ったプレイヤーもこの街でリスポーンしたらたまったもんじゃないしな。それぞれが泊まった場所でリスポーンするわけだ。
っと、ここで問題です。リスポーンするのは宿です。もし、その宿の中で死んだ場合はどうなるでしょう?
正解は……普通にリスポーンします!
えっ? 普通じゃね? と思った皆さん! そうなんですがここで俺はある一つの強烈な事実に気付いてしまった……
そう、死地からリスポーン地点までの距離がほぼゼロ! そう、ゼロなのだ! 今まではどんなに近くてもどんなに速く走っても移動時間は発生していた。しかし、ここでは死んですぐ生き返ってまた死ねる! このループによって今まで史上最高に効率よく俺を強化できるっ!!
今まで走ってた時間長かったからなー。俊足をゲットした時は良かったけど、それで終わったしな。ここで、ちょっくら逝きまくりますか!
「あっ、ロープがない。売ってるかな?」
無事、売ってました。では始めましょう。
日が暮れました。
「う、うあーーーはぁ。疲れたな」
単純作業になってるけどまあ、なんか死ぬことに対して何も感じなくなってきたな。
死ぬために死ぬことを死ぬほどやってたら、死ぬことについて考え方が変わってきたように感じる。毎回とても苦しい思いをして死ぬ。一瞬で死ぬこともある。
そんな中で死とは怖いものでも何でもない気がしてきた。死は誰にも絶対訪れることだし、死ぬこと自体は痛くも痒くもない一瞬の出来事だ。
そこに至るまでの過程が人々を不安にさせるのだろうか? 俺はだいぶ痛みや苦しみに慣れてきたから怖さを感じなくなったのかもな。
それとも、存在が消えることが嫌なのだろうか? でも、それは皆んなの中に残っていれば存在は消えてないことになるよな? 織田信長とか今でも俺の中にいるぞ。
死ぬことが怖いって感情はどこから来るのだろうか。でも、死への漠然とした恐怖ってあるよな?
死にたいと思って始めたゲームだが、色々と考えさせられるな。この答えをいつか死ぬまでに見つけられたらいいな。
……でも死ぬよ? ステータス上げたいし。これからはもっと冒険して、自分と向き合っていきたいしね。
そんなわけで首吊りの続きいきますか! 考え事してたら時間くっちゃったしな、ペース上げて行こう!
ん? どうやって、部屋の中で死んでるかって? 教えるかよ、誰かに真似されたら胸糞悪いからな。死ぬならVRの中だけにしてくれよな。
ーーー称号《死の考察者》
称号《死を克服せし者》を獲得しました。
《死の考察者》‥死について30分以上考える。死霊魔術の適正に補正。
《死を克服せし者》‥死に対して恐怖がなくなった状態で、死ぬ。死霊魔術の適正に補正。
んー。なんかゲットしたけど、今は構ってる暇ねーな。今日中にどんだけ死ねるか、どんだけステータス上げれるかによって今後また死ぬかどうか変わるからな。
ーーー称号《ゾンビアタッカー》を獲得しました。
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