第14話 斬首


「いたたたー……」


 HP満タンなら一撃じゃ死なないこと忘れてたわ。あー今も自動回復でほぼ回復してるわ。これは死ぬ瞬間に自分で自分を攻撃でもして落ちないと死ねないな。


 あれ……どうしよう。死ねないぞ。殴ってもダメージ入んないしなー。キノコも消耗品だから探さないといけないし、なんかナイフみたいなものがあればなー……


 ナイフかー。金がねーな。ナイフがダメなら何か自分にダメージが与えられそうなもの。切れ味がいいもの? 尖ったもの? なんかあるか?


 ん? 尖ったものなら作れるか? 原始時代、ヒトは打製石器をつくってマンモス狩りしてたんだろ? それなら俺でも作れそうだな。時間ないから急いで作ろう。


 打製石器って取り敢えず岩削って尖らせればいいんだろ? なんかいいのねーかな? ここは奈落の底だからいいのありそうだけど……


「んーこれが一番ましかなー」


 近くにあった中で一番硬そうなのを何となく選んだ。後は尖らせるだけだな。


「こんなもんか?」


 割と尖ってきたな、一旦刺してみる。うん、ちくっとするだけでダメージは入んないな。


 まだまだかー。岩を地面にぶつけて尖らせてるけどこれがなかなか難しい。もう、いっそゴツゴツしたところで擦り合わせれば早いか?


「うぉおおおおおおおおおおお!!」


「ハァッ、ハァハァ…」


 きつ! でも、割と尖ってきたな……また確認してみるか。俺は思い切って、お手製の剣とも呼べない何かで腕を切ってみた。


 おっ、ダメージは入ったな。微々たるものだが。折角、ここまできたならなんかもっといい感じになるまでやりたくなってきたな。


「よし、もう少しだけ頑張ってみるか」



ーーーー二時間後…


 あれ? 今どのくらい経った? 周りもなんか夕焼け色になってるぞ? これ、割とやばくね? 時間かなり潰してしまった? もう残りの日数ほぼないのに……


 でも、かなりの力作ができたと思うぞ? まあ、店売りとかに比べればそりゃ全然だけど、岩と労力だけにしては良いと思う。ダメージ量はそこそこいく。かすっただけでも結構いくようになった。


 まあ、もともとのHPが少ないからで、すぐに回復しちゃうんだけどね。


 ん? 待てよ? 一々崖から飛び降りるより、これで自分斬った方が早くね? よし、思いたったらすぐ行動だな。


 なんだかんだでまた戻ってくる森。もう、みんな初心者ではなくなったのか、殆ど人気がない。まあ、こんな奇行を見られるくらいなら、居ない方がましだけどね。


 よし、やるか。


「いっっ……!!! たあああああ!!」


 これはかーなり痛いぞ! やばい!! やばすぎる! 今までの比じゃないな。でも……やるしかないんだよなー……




ーーースキル【斬撃障壁】

   スキル【精神耐性】を獲得しました。


ーーー称号《人斬り》

   称号《断頭者》を獲得しました。


【斬撃障壁】‥斬撃のダメージを軽減する障壁を展開する。熟練度に応じて軽減率上昇。


【精神耐性】‥精神的苦痛を和らげる。


《人斬り》‥人を刃物で斬る。斬撃の威力補正。


《断頭者》‥人の頭を何度も斬って殺す。スキル【ギロチンカッター】の取得。斬撃の威力補正。


【ギロチンカッター】‥相手との特定の間合いに入り極微確率で相手を即死させる。相手よりレベルが高ければ高いほど、確率上昇。


 いや、そんなにスキルと称号くれても、あんまり喜べねーよ。普通にきついし、痛いし、効率良すぎて何度も死にすぎたわ。


 そのかわり得るものは得たって感じだな。特に最後のはかなりゴツいのきたな。使う場面があるのか、あって欲しくはないけどな。


 それより、また、俺の首がカウントされてやがる! それはいいのか? 自分の首斬りまくって、断頭者になるとかもはや恥ずかしすぎるぜ! そいつ絶対自分の首しか斬れねーだろ!


 まあ、もらえるもんはありがたく受け取っておきますけど、、後悔させてやる! 公式め!





ーーーキングオーク戦まで残り一日

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