第9話 試練


「……はぁ?」


 やべぇなんかもう迫力がやばいです。はい。案の定? キレられました。どうしよ……


 え? これみんな経験してるの? それとも俺だけ? でも、やるしかないよなー……


「あ、ギルドの登録をしに来たんですけどー……」


「何回も言わんでも分かるわ! 俺が疑問なのはお前みたいなひょろいやつがこの世界で生きていけるかっちゅー話や!」


「え、い、いやーあのー……」


 え? この世界そんなに厳しいの? ってかみんな俺なんかよりもゴツいってこと? みんなマッチョなの?


 やばい……でも、この世界で生きていくと決めたんだ! 覚悟を見せるしかない!


「私もこの世界でなんとか頑張って行こうと決心したんです! どうか私にも登録させて下さい! お願いします!」


「ほぅ、熱意だけはあるんやな。しかし、この世界は気合いだけでは乗り切れんぞ、それでもこの世界に挑むんか?」


「はいっ! 全力でやらせていただく所存でございます!」


「よし、気持ちは受け取った。だがな、気持ちだけでは乗り切れん世界なのは変わらん」


「そ、そんなー……」


 頑張って勇気だして言ったのにー……この世界厳しすぎだろ!


「そんなに落ち込むな。それだけ、この世界は厳しいということだ。気持ちだけあっても生半可な実力ではすぐについていけなくなってしまう。断るのもお前の為だ」


 そんなに厳しいのかよ! この世界。だ、だけど俺だってあんなに怖い龍を倒せたんだぞ! 実力はある方ではないかもだけど、ゼロではないと思うんだが……


 ん? なら、実力を認めさせれば良いってことか? なら、


「それなら、あなたに俺の実力を認めて貰えばいいってことですね? なら、お手合わせ願えませんかね? 実力も見られずに決め付けられるのは納得いかないので」


「ふん、それもそうだな。だが、実力がないと判断したら即不合格だぞ。それでもいいならお前の熱意に免じて手合わせくらいしてやろう」


「あ、ありがとうございます!」


 よし! これで実力を認めさせれば俺もギルドに登録できるぞ!


 訓練場みたいな場所に来た。流石ギルドだこんな場所もあるんだな。


「よし、なら早速始めよう。んーどうしようか。普通にやっても俺が勝つだけだからな。こうしよう。三分時間をあげよう。その間にお前が俺に一回でも攻撃できたらいいだろう。ただし、時間切れや俺にやられたらその時点で終了だ。いいな?」


 うっ、流石のハンデだな。やはりこの人は相当の手練れなのだろう。龍よりも強いことは無いだろうが、今回は制限時間がある。そこが肝だな。


「はい!お願いします!」


「よし、ならお互いにこの木刀を使おう。ほれ」


「あっ、僕は剣じゃなくて素手で闘うタイプなので、使わなくてもいいですか?」


 俺は格闘技のスキルを持ってるから無い方が戦い慣れてるのだ。でも、その分リーチ的に分が悪いがまあいけるだろう。


「……お前がいいならいいが。まあ、いいだろう時間ももったいないし、さっさと始めよう。いつでもかかってきていいぞ」


「では、お願い、しますっ!」


 これは先手必勝だ。持久戦になると勝ち目がなくなる。最初の一手で全てを決めるっ!


 俺は開始と同時に相手との距離を詰め、拳のリーチに持っていこうとした。だが、


「ふん、なかなか悪くないが、そんなんではうちのギルドには入れん、なっ!」


 相手もやはり強者、軽々動きを見切られてしまった。


 速いっ! 相手が突きを繰り出してきた。これはぎりぎり避けきれないっ! 流石に無理か?


 ドンっ!


 あれ? 痛くない? あっそういえばなんか刺突に関するスキルがあったような……? まあ、いいや相手もポカンとしてるし今のうちに!


「もらった!」


 そして、試験官の腹に一発いいのを決めてやった。


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