王子さまの瞳

「……あの子は? 」


我に返った王妃さまが問います。

花壇の血は残ったまま。

誰も覚えておらず、首を振ります。





───お姫さまがきえて1年。

念願の王子さまが産まれました。


幸せに包まれたある日、王妃さまの目から一筋涙が零れました。


「……姉さん、ごめんなさい。あの子を大切に出来なくて。そして、ありがとう」






───あれから4年。王子さまが3歳になる年。

「ねぇ、お母さま? お空に綺麗なくじらの親子がいます」

「あれはね、『王冠花くじら』と言うのよ」


そう言うと、そっと涙を拭いました。






『王冠花くじら』


それは、4年に1度しか現れない夢クジラ。


───あなたの、願いはなんですか?


Fin

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王冠花くじらのお姫さま 姫宮未調 @idumi34

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