第8話 今までの「グルメライター災難記」

 その後どうなったかというと、私は月代先生のご自宅兼ティールームでお茶を飲むことになったのである。

 最初からそう勧められていたのだが、もうけっこう遅い。月代先生のティールームは某大手グルメサイトに住所も載っていて、前もって教えられていた。


 上品で、それは素敵なティールームのようだ。

 だが、どういう人が経営しているのかは、やっぱりまだ分からない。

 私はグルメライターといわれる職業についてから、このことを思い知った気がする。


 まず飲食店は、乱暴ないい方をしてしまえば、「誰でも」開業が可能だ。

 例えば、案外知られていないことのようだが、飲食店の開業に必ずいるのは「食品衛生責任者」の資格で、これは講習を受ければ、自分で一日で取ることも可能な場合がある。持っている人を雇用してもいい。


 調理師免許の資格も、必ずしも必要ではないのである。私がお話したことのある板前さんで、腕がいいのに、調理師免許は持っていないという方がいた。自分は伯父の店で修業して、受験資格もあるのだが、調理師試験の開催時は繁盛期でいつもどうしても忙しくて行けないと言っていた。


 とにかく、なんというか、客が受ける店のイメージと、全然違う人がお店をやっていたりすることは、あるようだ。


 私はこの仕事につく時、

「沙奈ちゃんが騙されないか心配だわあ」

 と言われた。


 そしてその後、実際に、オーガニックカフェの取材で、高級美顔器の契約をしてしまって解約するのにさんざんもめたり、ちゃんとした教会の合唱団が作る、非常においしいクッキーの記事を書くさいに、気がつくと二万円も、教会に個人的な寄付をしてしまったり、実は一時、さんざんな目に遭っていた。


 最近は人を見る目もだいぶできてきたと思うのだが……大丈夫だろうか。



参考サイト コロンブスのたまご

www.columbus-egg.co.jp/faq/faq02_05/




 



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