(2)大蛇山祭りと豆知識


 そんな物語が語られるこの地には〝大蛇山祭り〟という祭りがあります。


 毎年7月の「海の日」の前後から8月上旬にかけて開催される祭りで、江戸時代に起源をたどる「大蛇山祇園祭」、大牟田市商工界の「炭都まつり」、三池港周辺での「港まつり」をひとつにあわせて昭和36年(1961年)に始まった、歴史と伝統ある祭りです。まつりの主役である「大蛇山」は、「大正町おまつり広場行事」の2日間(現在は7月の第3(土)~(日))登場します。


 山車に人が乗り、太鼓や鐘を打ち鳴らしながら、町中を練り歩きます。この山車のことを「大蛇山」と呼んでいます。

 そんな祭りのシンボルの大蛇はですが、大蛇山は、長さ約10メートル、高さ5メートル、重さが最大3トンにもなり、木製の山車に和紙、竹、わら等を組み合わせた、頭・胴体・しっぽをつくり、大蛇のように飾りつけがなされます。この勇壮な大蛇たちが、街の各所で、祭りに、そして人々の心に火をつけていきます。


 そして「かませ」といって、大蛇の口に子供をかませると、その年は無病息災で子供が泣くほど御利益があると伝えられています。

 ちなみに、一回1000円で、もちろん子どもたちは大泣きです。

 方言で言いなおせば、「ギャン泣き」ですね。


 祭りが終われば、すぐに山崩しが行われます(まあ解体ですね)。

 気持ちよいほどに潔いこと、1年の無事を祈念しながら両目だけが神前に奉納され、大蛇山はその姿をきっぱりと消してしまいます。

 ちなみに以前は、祭りが終わった後、勇壮に大蛇山の取り崩しと目玉争奪戦が繰り広げられ、大蛇の左目を奪い合いがあったそうですが、戦後禁止となり、現在では安全に配慮して、一部の地域において子供たちによる目玉とりがとり行われているそうです。


 こうして人々は、過ぎ行く祭りを惜しみつつ、大蛇山の一部を取り合い、お守りとして家へ持ち帰っていくのです。

 壊れた大蛇の破片を軒先に飾り無病息災・家内安全のお守りだそうです。



 ですが、この祭りの2日といわずとも、その前からミニ大蛇(とはいっても「かませ」は出来るくらいの大きさ)の大蛇を引き連れて、地元の子どもたちが法被を着て、煙と太鼓の音に合わせて踊りながら各地を回るなど、期間的には大掛かりです。

 この地域、県内上位レベルの高齢化な地域なので、お祭り会場へ足を運ぶことの出来ない高齢者も多く、これはとても人気があるんです。


 そして、この地元のご当地キャラクターは大蛇と炭鉱をモチーフに作られた、〝ジャー坊〟です。

 ちなみに原案者はこの地出身の方で、某有名アニメ・ゲームを手掛けたレベルファイブに勤める方だそうです。


 また、地元のJRの改札口には、高専生が作った動く大蛇がお出迎えしてくれたりもします(稀に電源がoffなのか、止まってますが……)。


 変わり種として、「スピード落として、落とすな化粧」など、面白い文言の広告に続いて、「大蛇の香り」「大蛇の涙」などの謳い文句で、この大蛇にあやかった広告まであるのです(笑)



 と、まぁ~私は生まれも育ちもこの地域じゃないんですけどね。

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