第82話 ハンキングとプロップ
「ほんまあんたなんなん?」
ドラゴンエッグが駐車されている駐車場に辿り着いた途端、リンはミオンの肩をゆすりながら叫ぶ。
「どこにでもいるGランク雪豹だよ」
「どこがやっ! どこの世界にGランクで新品の大型トレーラーハウスにオートプロテクター所持して、しかもヴァルプルギス・ナイト・マーケットとゴールデン・バックにコネクションがあるGランクおんねん!!!」
ミオンはリンにガクガクと揺さぶられながら答えると、リンは絶叫と共にどこに隠し持っていたのかハリセンでミオンにツッコミを入れる。
そんな二人のやりとりを見ていたゴールデンバックの面々はうんうんと頷いていた。
「まあええわ……命助けてもろたし、うちの腕前見せたるわ!」
気持ちを入れ替えるようにリンは自分の顔をぴしゃりと叩くと、ミニガンの取り付け作業に入る。
「取り付け方やけど、ハンキングとプロップどっちがええ?」
「ごめん、違いが判らないから教えてくれないかな?」
リンは溶接用のトーチに火を入れて遮光用のヘルメットをかぶると、ミニガンの取り付け方法を聞いてくる。
ミオンはハリセンで叩かれた場所をさすりながら違いを聞く。
「ハンキングはメカニックに直接武器を張り付ける方法や。メリットは一番手間がかからんし、車内からスイッチオンで撃てること。デメリットは銃口の向きは固定、武器もむき出しやから被弾する可能性が高いし、武装してますってバレバレ」
「プロップは?」
「支柱取り付けてその上に武器を搭載する方法や。メリットはある程度射角を得ることできるで。デメリットは武器がむき出しなことと、射手が必要や。で、どっちにする?」
リンはハンキングとプロップの違いを説明する。
「うーん……悩むなあ」
「どっちもそんな手間ちゃうし、取り外し可能や。なんやったらここにハンキング、ここにプロップつけてみいひん?」
ミオンがどうしようか悩んでいると、リンは運転席側の天井にハンキング、牽引しているトレーラーハウスの上部にプロップをつけてみないかと提案する。
「じゃあ、それで」
「よっしゃ、ミニガンの整備と取り付けでとりあえず1日頂戴」
『マスター、以前メタルライドの修理を依頼した修理工場からオーバーホールが終了したとメッセージが届いています』
「……あんさんGランクって絶対嘘やろ」
取付方法が決定すると同時にナビィがリペアショップ【ザ・カウント】から送信されたメッセージを音声で知らせる。
それを聞いたリンは修理の手を止めてジト目でミオンを見つめる。
「メタルライドと言っても遺跡で拾った工事系の機体だよ。それにほら、この通りライセンスもGでしょ?」
「ほんまやね……」
ミオンが雪豹ライセンスを見せてやっとリンは納得した。
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