第81話 見つけた物は


「あんたマジなんなん? 下手したらうちの半年分の稼ぎの量やで」


 ナビィが示した反応があった場所を掘ると売れる部品がいくつか出てきた。

 見つけたものを一纏めにしてリンに見せると、唖然とした顔でミオンを見ていた。


「ほぼ完品の7mmミニガン二門に、チタン合金の装甲版多数、ニコイチ修理すれば売れる車両部品に……ミオンはんが見つけたこの剣が一番値打ちもんや」


 リンが価値があると言って指さしたのは、全長4m近くある大型の片刃剣。特に印象的なのは、剣の峰部分にブースターの噴射口のようなものが多数ついていた。


「うちの記憶が正しかったら、これ……対戦車用ブースターブレード”ゴチェスト”やで」

「なにそれ?」


 リンがミオンが見つけた型検を指差して、武器の名称を教える。


「オートプロテクターを装着した兵士が近接武器で戦車と戦うという頭おかしいプロジェクトで開発された武器でな、本来宇宙船の姿勢制御に使う噴射口がついていて、斬撃時に点火してブースター噴射の勢いでその加速のついた斬撃で戦車の装甲をぶった切る武器らしいで」

「ごめん、意味わからない」

「安心し、うちも意味わからん」


 ゴチェストがどんな武器かリンが説明すると、リディが意味が分からないと答えるとリンが同意するように答える。


「まあ、壊れてるし……オートプロテクターがなければ持つのも一苦労やし、ましてや生身で点火して振り回したら腕もげる………あれ? 皆してミオンはんみつめてどないしたん?」


 リンがゴチェストはオートプロテクターを着用しないと運用できないというと、ゴールデンバックの面々は何とも言えない目でミオンを見つめている。


「こいつ、ついさっきオートプロテクター買ったんだよなあ」

「そのミオン君は~、ここで~オートプロテクター用武器を~、見つけたんだよね~」

「主目的のトレーラー用の自衛火器も見つけてるし……」

「まさしく幸運の星ラッキースターですね」


 ターカー、アリス、リディ、イザベラの順でミオンが持つ豪運を改めて実感する。


「僕じゃなくてナビィが優秀なだけだよ」


 ミオンからすれば自分の運ではなく、そういう反応があるエリアをサーチしたナビィが優秀だと思っていた。


「……拝んだら御利益あるかな?」

「やめてください」


 拝もうとするリンをミオンが止めながら、一行は戦利品を持ち帰り詰め所で持ち出しの手続きをとる。


 チタン合金の装甲版や故障した車両部品は追加料金取られることなく持ち出せたが、ミニガンとゴチェストを持ち出すには追加料金が発生した。


「このモルグって下手に外で雪堀や遺跡潜りするより稼げるんじゃないんですか?」


 リンがミニガンを取り付けてくれるというので、トラックに乗せて帰路につく途中、ミオンは集積所の有刺鉄線のフェンスを見つめながら呟く。


「持ち出し品によっちゃ追加料金取られるけどな。修理の腕と販売ルートさえあれば食うのには困らんで。せやけどな、同じスカルハンター同士の縄張り争いに上前跳ねようとするグール、何より墓守と呼ばれてる奴に気をつけんとあかんけどな」

「墓守?」


 墓守と言う聞きなれない言葉を耳にしてミオンは聞き返す。


「噂やけど、モルグを管理監視する存在がおってな、過去にスカルハンターのとある団体がモルグを独占しようとして墓守の怒りを買って始末されたとか、荒稼ぎしたスカルハンターが墓守から警告を受けてモルグから卒業したって噂や。うちの予想やけど、墓守は都市軍の人やと思うで。集積所の品は名目上は都市軍が管理してるさかい、スカルハンターが調子に乗って独占してジャンク品とか大量に街に流されたら、さすがに横流しごまかしきかへんやろ?」

「なるほど」


 そんな話をしながらミオン達はドラゴンエッグが駐車されているヴァルプルギス・ナイト・マーケットのガレージへと向かった。

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