第80話 幸運の星


「なーんや、ゴールデンバックって男も雇ってたんかいな」

「チーム全体の~、男女比率が~、女9:男1だからね~、勘違いする人多いのよね~」

「所属している女性の雪豹の中には男に対して悪感情を抱いてる奴もいるけどな。なあ、リディ?」

「………」


 ミオンを女性と勘違いしたリンはアリスから、ゴールデンバックの男女比率など聞いて、男のミオンがいることに納得して頷いていた。


 ターカーに男嫌いの女雪豹の話を急に振られたリディはバツが悪そうにそっぽ向いて、イザベラとミオンが苦笑していた。


「さ、ついたで。ここがヴィーグル系のジャンク品のええもん取れるとこや。状態のええ装甲や生きてる機械部品が取れるから、あんさんらが捜してるもんも見つかるんちゃうか?」


 そんな雑談をしながらリンはヴィーグル系のジャンク品が取れるエリアにミオン達を案内する。


「よしっ! ミオン任せたっ!!」

「うわっ!? いや、任せたって……僕には知識ないんですよ」


 目的地にたどり着くと、ターカーがミオンの背中をバシッと叩く。

 ミオンはつんのめりながら、ターカーに抗議する。


『ご安心くださいマスター。すでに周囲をサーチし、目星をつけております』

「おっ! AI付きのサポートデバイスかいな。ええもん持ってるな」


 ナビィがPDAのディスプレイをチカチカ点灯させてアピールすると、リンがミオンに声かけてくる。


「うん、僕の大切なパートナーさ。そこと……そこと、それから……そこに反応があるみたい」

「お、比較的掘りやすいとこやな……ところで、ミオンはんいうたか? あんさんメカニックとかの伝手とかあるん?」


 ナビィがサーチで反応があった場所をミオンが指さし、マーキングしていく。

 そんな中、リンがメカニックの伝手を聞いてくる。


「え? 伝手と言われるのは……ない……かな? 店を利用するか、ゴールデンバックのメカニックさんにお願いするかかな?」


 リンからメカニックの伝手と言われてミオンが最初に浮かんだのはゴールデンバックのメカニック担当の面々、そしてライドメタルの修理を頼んだザ・カウントの従業員。すぐに角をつけたがるダニーは脳内から速攻で除外した。


「せやったら、うちと専属契約組まへん? ミヤコオチする前は、壁の向こうで一族が経営していた修理再生工場で働いてたんやで。大抵のもん直せるし、整備も格安で引き受けるで」


 伝手らしい伝手がないと聞いたリンはまるで獲物を狙う肉食獣のように目を光らせて、売り込みをかけてくる。


「……リディ……やっぱりミオンって……持ってるね」

「うん……状態のいい武器か何か見つけるかと思ったら……まさか元ブケのスズキの血族と出会ってコネを作るとは思わなかった……」

「まさしく幸運の星ラッキー・スターだな、ミオンは」

「ほんとうにね~。それよりも~反応があったとこさっさと掘ろうね~。ちょっと暗くなってきてるし、雪降られたら大変だよ~」


 ミオンとリンのやり取りを見ていたリディ―達ゴールデンバックの面々はリンがメカニックで有名だった元ブケのリンとの出会いに驚き、ミオンの持つ豪運を改めて実感していた。

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