第76話 トレーラーハウス”ドラゴンエッグ”
「これは?」
「当商会で製造したトレーラーハウス【ドラゴンエッグ】です。全長18m、総重量32トン、エンジンは重量級戦車にも使われているフランベルジュV200、移動方式はホバーユニット、装甲は全面ハイチョバムです」
ホログラムにドラゴンエッグの性能が次々と表示されていく。
「内装は一階が車庫になっており、ライドメタル一機と一着のオートプロテクター、一台の偵察用バイクが同時に格納できます。二階は居住エリアになっており、ベッドルーム、キッチン、リビング、ユニットバスがあります」
「ねえ~、ヤポンスキーさ~ん、これって~、誰かのオーダーヴィーグルじゃないんですか~?」
続いてヤポンスキーがドラゴンエッグの内装を説明していると、アリスが他の人が注文した商品ではないかと指摘する。
「正確にはとある雪豹チームがオーダーしていたヴィーグルでした……ですね」
「ええっと、ごめんなさい。オーダーヴィーグルって?」
ヤポンスキーがアリスの指摘を肯定するような返事をしていると、ミオンが手を上げてオーダーヴィーグルについて質問する。
「だいぶ金がかかる……こほん、かかりますが、一から自分好みの性能を持ったヴィーグルを作ってもらえると思うといいわ」
ターカーが何時もの口調で説明しようとして咳払いしてちらりとヤポンスキーを盗み見ると、女性らしい口調でミオンにオーダーヴィーグルについて説明する。
「えーっとつまり……僕たち以外の雪豹チームがこういうヴィーグル作ってと注文を受けて、作った奴を僕に売ろうとしているんですか? 駄目ですよ、それ! 絶対注文した雪豹チームが文句言ってくるじゃないですが!」
「いいえ、彼らは文句言えないでしょう。納品前に後金払う為に潜った遺跡でMIA認定されてもう三ヵ月すぎてますから」
「あー……それは仕方ないわね」
ミオンからすれば他人が注文したものを自分に売りつけようとするヤポンスキーが信じられないという感じで否定するが、ヤポンスキーが件の雪豹チームがMIA認定受けたと伝えるとゴールデンバックの面々は逆に納得していた。
「え? え?」
「ええっとですね、MIAと言うのは Missing in actionと言って、遺跡で行方及び生死不明状態を表す言葉です。MIA認定されて三ヵ月も過ぎてるとなりますとミュータントの胃袋で消化されているか、凍死もしくは餓死していると思われます」
ミオン一人状況が分からず、何が起きているのか確認するようにきょろきょろしていると、イザベラがMIAについて説明する。
「もしかしたら帰ってくるかと取り置きしていましたが、三ヵ月も経過しましたし、いい加減ガレージ空けろとせっつかれましてね」
「いやでも、僕操縦とかできませんし……」
「わた―――」
『バイクからスペースシャトルまでの操縦プログラムインストール済みです、マスター』
ミオンが運転できないというと、リディが運転できるとアピールしようとした瞬間、ナビィがリディの妨害をするように大音量で運転できるとアピールする。
「うん、わかったから……そんな大きな声で言わなくてもいいから」
『失礼しました』
ミオンは急に大声を出したナビィにびっくりしながら宥める。
「でも、こんな凄い車……高いでしょう?」
「いえいえ、今ならなんと、このお値段で!」
「思ったより~、安いけど~、理由は~?」
ミオンは高そうだからと購入に二の足踏んでいると、ヤポンスキーは旧時代の深夜の通販番組のようなセールス口調で値段を提示してくる。
それを見たアリスはよそうよりも安い値段に驚いていたが、裏があるのではとヤポンスキーをけん制する。
「色々理由がありますが、まずは注文をした雪豹チームから前金頂いているので、その分本体価格から値引き、スペック表見ていただけるとわかりますが……電子戦装備や搭載火器の類が一切ないんですよ」
「あら~、確かにハッキング対策の
ヤポンスキーはホログラムを操作してドラゴンエッグに搭載されている機器やオプションの一覧を見せると、アリスが納得する。
「注文していた雪豹チームは電子戦やメカニックに強いチームでして、自前で防壁やら武装を用意する予定だったそうです。ミオン君が購入するのでしたら電子装備系や搭載火器もお売りいたしますよ」
「うーん……さすがに車両まで買うとそっちに回せるお金が……」
ヤポンスキーはここぞとばかりに防壁プログラムや車両用搭載火器のカタログを提示してくる。
ミオンは今回手に入れた報酬がオートプロテクターと車両両方購入すると、あまり手元に残らず、防壁プログラムも搭載火器も最低限のないよりはまし程度の物しか買えない。
『マスター、私をドラゴンエッグに接続して戴けたら防壁等セキュリティは安全です』
「なら~、搭載火器は~、
ミオンが悩んでいると電子戦はナビィが担当するという。
それを聞いたアリスが搭載火器は
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