第73話 今後の方針


「このスペックだと……警備ロボなら重要軍事基地を守るような警備ロボットか、最低でもハイエンドクラスのオートマータークラスじゃないと受け入れられませんよ」


 ヤポンスキーに呼び出された警備ロボット等に詳しい専門家はナビィの要求スペックを見て返答する。


「あの~、オートマーターって何ですか?」


 ミオンが手を上げて質問するとロボットの専門家はそんなことも知らないのかと侮蔑の視線を送る。


「ミオン君は私の客です。教えてあげてください」

「はっ……? ひっ!?」


 ヤポンスキーがそういうと、ロボットの専門家は一瞬きょとんとした顔でヤポンスキーの顔色を窺うように視線を向けて、小さな悲鳴を上げる。


「オートマーターとは可能な限り人間に似せて作られた警備ロボットの名称で、特定の行動しか設定されない警備ロットと違い、柔軟な思考と行動ルーチンを持ったロボットだと思いください」


 ロボットの専門家は青い顔して噴き出る冷や汗を拭きながらミオンにオートマーターとは何かを説明する。


「今回の報酬では手に入りませんか?」

「当商会でもオートマーターは取り扱ってますが……額が足りませんね。最低限要求を満たすオートマーターを購入するならあと0が二つ三つ欲しいです」


 ミオンが恐る恐る今回の報酬で購入できないかと聞くと、ヤポンスキーは首を横に振って額が足りないと答える。


「ナビィ……ごめん……」

『いいえ、お気持ちだけでも私は嬉しいです、マスター』


 ミオンは申し訳なさそうにナビィに謝罪する。


「購入は無理かもしれませんが、手に入れる方法はあります」

「本当ですかっ!」


 ナビィに謝罪するミオンを見ていたヤポンスキーはナビィの要求スペックを満たすロボットを手に入れる方法があると伝える。


「Dランク以上に値する遺跡の中には警備ロボットやオートマーターの製造工場があります。時には製造工場がまだ生きていたり、出荷待ちの完成品が眠っていたりという報告がありますので」

「僕がDランク以上になってそういった遺跡から見つければいいと?」

「もしくは、Dランククラスになるまで雪豹活動をしていれば、当商会が保有するオートマーターを購入できる金額を貯めれるかもしれません」


 ヤポンスキーが提案したのは遺跡潜りだった。

 Dランク以上の遺跡の中にはかつて警備ロボットやオートマーターの製造工場があると、そこに潜るか金を貯めて商会が保有するオートマーターを購入するか。


「とはいえ、Dランクになるのは並大抵じゃないです。ミオン君は今はソロでしたね? どうやってDランクに上がるかビジョンはありますか?」

「えっと……それは……」


 ヤポンスキーにどうやってDランクになるのかと問われるとミオンは返答に詰まる。


 ミオン自身雪豹になったのは孤児院を追い出されて犯罪者にならずに生きていくため。Gランクになれたのは偶然だと思っており、今を生きるのが精いっぱいで将来のことも何も考えていない。


「すぐには思いつかないかもしれませんが、参考になる人ならそちらにいますよね」

「えっ? ………あっ!」


 ヤポンスキーが指をさし、ミオンが指をさす方向を見ると、ゴールデン・バックの面々がいた。


「わからないなら聞けばいいじゃないですか。もしくはチームに入って一緒にランクを上げていくとかね」

「そうだな、ミオンだったら歓迎するぜ!」

「チーム組んでって言ったけど……ミオンがゴールデン・バックに入るってのもアリよね」

「ゴールデンバックはAランクチームですし、メンバーもたくさんいますし色々な技術を持ってる人もいます!」


 ミオンをチームに勧誘できないかとハイレディンから打診されていたターカー達はここぞとばかりにミオンを勧誘する。

 ただ、アリスだけが苦虫を噛むような顔でヤポンスキーを見ていた。

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